永作博美、『朝が来る』で夫役の井浦新と“赤ちゃんグッズ”購入「一般の方に写真を撮られたら…」とドキドキ
直木賞受賞作家の辻村深月のベストセラー小説を河瀨直美監督が映画化した『朝が来る』の初日舞台挨拶が10月23日TOHOシネマズ六本木で行われ、永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子、河瀨監督が登壇。撮影前から登場人物が経験してきたことをリアルな状況で体験し、取り入れるという、河瀨監督ならではの“役積み”という演出法に挑んだ役者陣。永作は、赤ちゃん用のおくるみやオムツなどを、夫役の井浦と共に買いに行ったことを明かした。
本作は実の子を持てなかった夫婦と、実の子を育てることができなかった14歳の少女を繋ぐ“特別養子縁組”によって、新たに芽生える家族の絆と葛藤を描くヒューマンドラマ。
“役積み”という言葉について、「(監督は)流行語をねらっているらしい」と微笑んだ永作。「すべて赤ん坊のものを揃えてくれと言われて。だいたいそういうものは、美術さんが揃えて現場に持って来てくれる」と口火を切り、「今回はおくるみも肌着も、よだれ掛け、オムツもミルクも、それを入れるバッグも。すべて自分たちで時間をかけて選んで、自分たちで東京から現場まで持って行った」と購入したグッズをロケ地の広島まで、自ら運んだと話す。
井浦も一緒に選んだそうで、「2人でモールに買いに行った」と告白。永作は「黄色にしてくれと指示があったんですが、黄色がなくて。生地屋さんにまで行った」と苦笑い。その準備段階はもちろんカメラも回っておらず、監督もいないそうで、永作は「一般の方に写真を撮られたら、ドキドキするなと思った」と戸惑いもあったそうだが、「“役積み”があったおかげで、(演じる)佐都子にたどり着いた。現場で毎回『あなたはどう考えるか』ということを突きつけられている感じがした。監督の愛情について行こうと思った」、井浦も「俳優としては、とても幸せな環境」と河瀨監督に感謝しきりだった。
また東京から広島への移動の際、永作は「(移動中も)自分に戻りたくないと思って、別の世界に連れて行ってくれるものはなんだろうと思い、俳句を考えていた」と役づくりに集中するために俳句づくりをしていたという。河瀨監督から「ここで一句を」と無茶振りされるひと幕もあったが、永作は「秋雨も、祝福になり、あいたくて」と読み、会場から大きな拍手を浴びていた。
取材・文/成田おり枝
※河瀬直美監督の「瀬」は旧字が正式表記