「やっと見つけてもらえた!」『滑走路』に抜擢の新人俳優・寄川歌太の魅力に迫る
2017年に32歳の若さでこの世を去った歌人・萩原慎一郎のデビュー作にして遺作「歌集 滑走路」をモチーフにしたオリジナルストーリーが紡がれていく『滑走路』(11月20日公開)。このたび本作から、約500人のオーディションを勝ち抜いて役を射止めた注目の新人俳優の寄川歌太の姿を収めたメイキング写真が解禁された。
非正規、いじめ、過労、自死など、現代を生きる若い世代が抱える不安や葛藤、希望を求めてもがき生きる姿を、3つの物語を通して鮮烈に描く本作。厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、激務のなかで仕事への理想も失い、無力な自分に思い悩んでいた。そんなある日、陳情に来たNPO団体から非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストが持ち込まれ、追及を受けた鷹野。その中に自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、その死の理由を調べ始めるが…。
現在16歳の高校1年生の寄川が演じるのは、物語の軸となる中学2年生の学級委員長。俳優キャリア10年目にして2本目の映画出演となった寄川は、本作に抜擢されたことについて「『やっとだな』と思いました。いままでたくさんのオーディションに落ちてきたので、『やっと見つけてもらえた!』という喜びが大きかったです」と無邪気にコメント。完成した映画を観た際には、エンドロールにある自分の名前を見てうれしさのあまり泣いてしまったというエピソードも。
そんな寄川の才能を見抜いた大庭功睦監督は「最初に見た時から、浅野忠信さんのような抜けの良さと秘めた情熱みたいなものをナチュラルに併せ持っている印象があって、彼に決まるだろうという予感がしていました。撮影前のリハーサルでは、彼は自分を客観視するのがあまり得意ではなかった。でも自分で脚本を書いたり監督をしたいという、表現することに対する妥協のなさが彼を支えていたと思います」とコメント。
水川あさみや浅香航大、染谷将太ら数々の話題作に出演する実力派俳優たちのなかで、寄川はどのような瑞々しい演技を見せてくれているのか。今後の活躍が期待されるシンデレラボーイの姿を、是非とも劇場で目に焼きつけてほしい。
文/久保田和馬