花澤香菜、櫻井孝宏、宮野真守が息の合った掛け合いを披露!「すばらしい作品に出会えて光栄」
アニメ監督で漫画家のMTJJと寒木春華(HMCH)スタジオが制作し中国で大人気となったアニメ映画の日本語吹替版となる『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』(公開中)の初日舞台挨拶が11月7日に新宿バルト9で行われ、吹替え声優を務めた花澤香菜、櫻井孝宏、宮野真守が登壇。何度も共演歴のある3人が、ひさびさの舞台挨拶で息の合った掛け合いを見せ、会場を大いに沸かせた。
中国国内で3.15億人民元(約49億円)の大ヒットを記録した本作。人間たちの自然破壊で居場所を失った黒猫の妖精シャオヘイ(声:花澤香菜)と、そこへ手を差し伸べる妖精のフーシー(声:櫻井孝宏)。ともに人里から遠く離れた島へと移動するが、そこでシャオヘイは人と妖精の共存を願う人間ムゲン(声:宮野真守)と出会う。
日本語吹替版では『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』などを手掛ける岩浪美和が音響監督を担当。イベントには、本作がアニメ声優初挑戦となった宇垣美里もMCとして登壇した。
全国132館でライブビューイングが実施された本イベント。主人公シャオヘイの声を演じた花澤は、「こんにちはー!」と元気に挨拶し「こうやって対面できるのが嬉しいです」と満面の笑顔。ムゲンの声を演じた宮野も「こんにちは!」と投げかけ、会場から大きな拍手が沸きあがると「ご時世的に不思議だなー(笑)」と歓声がだせない舞台挨拶に新鮮さを覚えつつ、「舞台挨拶という形で皆さんの前に立つのは本当に久しぶり」だと感無量の表情。妖精フーシーを演じた櫻井も「楽しんでいただけましたか?本当にすばらしい作品に出会えて光栄です」と観客へ向け挨拶した。
一人ずつのアフレコだったため、本作で顔を揃えるのは今日が初めてだという3人。先ほど控え室で櫻井と会ったという花澤は、「わたし人見知りして、ドキドキしちゃって…(笑)」と告白。するとすかさず宮野が「ガチガチのファンじゃないかよ(笑)!」とつっこみ「よく戦っていた3人が、今回は会えずに収録だったから不思議な感じでしたね」と、「GODZILLA」シリーズや『HUMAN LOST 人間失格』(19)など共演作が多い3人だからこその息のあった掛け合いをさっそく見せていた。
中国発のアニメ作品となる本作。花澤は「すごい映像のクオリティ。戦闘シーンとか、カット割りがすごい!」と絶賛。櫻井も「戦闘シーンが、台本と映像を見ながらで追いつかなくて、覚えるような形で」とアフレコの様子を明かすと、宮野が「必死な櫻井さんが乙なもんで(笑)」と合いの手を入れ、櫻井も「珍しく必死になる櫻井(笑)」と自身がやってきた役を振り返った。
さらに字幕で本作を観た際の感想として、宮野は「僕らがいままでやってきた日本のアニメーションが、すごく海外に影響を与えているのかもしれないなと勝手に偉そうにも思ってしまったりしたんですけど、そこがすごくうれしくて。キャラクターデザインとか、すごく馴染みがある。しかも声優さんのお芝居もめちゃくちゃ素敵で!」と語ると、花澤と櫻井も大きくうなづく。さらに自身の役についての話になると、宮野が「花澤香菜とペアになるといつも不幸になるんですけど、今回は幸せに終われてよかったなと思いました」と明かし、会場を笑わせる一幕も。
続けてシャオヘイの成長物語となる本作にかけて、最近成長したことを聞かれた花澤が「衰退ばっかりですけどね…」と明かすと全員が爆笑。「筋肉痛が2日後にくるんですよ!」と言うと、宮野が「それは花ちゃんが言ったら、おじさんたちはもう…(笑)」と返し会場の笑いを誘っていた。
また宮野は、このコロナ禍で「色々中止になったりと無力感に苛まれた。でも足を止めちゃいけないなと本当に思った」と明かし、そんな状況下だからこそ2人芝居を行ったというエピソードを話し、「それが人生最大のチャレンジになるくらいの膨大なセリフ量で、この状況下でも経験は得られるんだなと思いました」と述べた。
さらに中国版のシャオヘイ役を演じたキャストから「吹替え版のキャストの方々は、私の大好きなキャストさんばかりです」とメッセージが到着。続けて「宮野さん、櫻井さんに、私のセリフを言って欲しいです」とまさかのリクエストがくると、これに宮野は「『ぼくはシャオヘイ、妖精だーよ!」と振りつきの志村けんのものまねを披露。
続けて、悩んだ櫻井は「フォクは、シャオフェイ!」とお笑い芸人のぺこぱのものまねで応戦した。さらに監督MTJJからの「皆さんが妖精なら、欲しい能力はありますか?」という質問には、花澤が「もっとムゲンを掘り下げてほしい!」と答えると、宮野が「すごい呼吸を使ってとかね(笑)」と現在公開中の『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』を引き合いにだして応える。同作で冨岡義勇役を演じている櫻井が「ちょっとやってみましょうか(笑)」と話すなど、会場を大いに沸かせた。
最後には、本作について「童心に帰ったように楽しめた作品でした。観終わった後に希望が残る、温かい気持ちになれる」と櫻井が熱弁。
続けて宮野は、「劇場でこの作品を観てもらえることになって、本当に安心しています」と安堵の表情を見せつつ「人間と自然界の対立、人間のエゴによる破壊というのをどう考えるのかを投げかける作品。副題が『ぼくが選ぶ未来』となっているのが、いまの状況にもすごく繋がってくる。僕自身は自分ができることを諦めずに、希望を持ってエンタメを届けていこうと思いました」と胸の内を吐露。
最後は花澤が、「いまこういう状況で生きづらいなとか、不安が多い世の中ですけど、彼が進んでいった未来はきっと明るいし、そういうメッセージを受け取っていただけたら。日本語吹替版になって、またいろんな人に広がると思うと嬉しいです」と笑顔で本作をアピールした。
取材・文/富塚沙羅