話題の中国アニメ『羅小黒戦記』監督にメールインタビュー!妖精たちのバトルを描くこだわりを訊く

インタビュー

話題の中国アニメ『羅小黒戦記』監督にメールインタビュー!妖精たちのバトルを描くこだわりを訊く

中国のアニメーター・アニメ監督のMTJJおよび寒木春華(HMCH)スタジオが制作したアニメ映画『羅小黒戦記』(19)。2011年より制作をはじめ、ビリビリ動画において全28話が随時配信されると2.3億回再生を記録したWEBアニメシリーズの劇場版。昨年、中国で3.2億元(約49億円)のヒットを記録すると、続けて日本でも字幕版が公開され、ハイレベルな作画や魅力的なキャラクターがアニメファンを中心に話題となった。そんな本作の日本語吹替版が『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』(公開中)として登場。初めてこの作品を知ったという人に向けて、メールインタビューに応じてくれたMTJJ監督の言葉と共に本作の見どころを紹介したい。

少年の姿に変化したシャオヘイ
少年の姿に変化したシャオヘイ[c]Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

主人公は人間の姿に変化(へんげ)することができる黒ネコの妖精、シャオヘイ。住んでいた森を人間の開発で追われた彼は、街や村をさまよい歩き、同じ妖精のフーシーとその仲間に出会う。彼らと楽しいひと時を過ごし、穏やかな時間が永遠に続くかと思った矢先、人間でありながら妖精たちの集う館に所属する執行官のムゲンが現れる。フーシーたちを圧倒した彼は、シャオヘイを捕らえ、妖精たちが集う館に連れて行こうとする。

ギャップも魅力!『羅小黒戦記』の生きいきとしたキャラクターたち

本作を観てまず目を奪われるのは、なんといっても躍動感あふれるキャラクターたち。幼さを残しながらも、生意気なところが愛くるしいシャオヘイをはじめ、無表情なのにどこかシュールでコミカルなムゲン、影のある妖精たちのリーダー、フーシーなど、彼らの何気ない仕草やかけ合いに魅せられ、いつの間にか夢中になってしまう。

シャオヘイは強力な力を秘めている
シャオヘイは強力な力を秘めている[c]Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

一方で、上記3人のキャラクターが持つギャップも魅力。シャオヘイは妖精として強力な力を秘めており、その力をめぐるムゲンとフーシーの戦いも大きな見どころに。任務に忠実な堅物かと思いきや、シャオヘイに対して保護者のようなやさしさを見せるムゲン。フーシーもまた、“悪役”なポジションになってはいるが、住処を失った同胞を救うため人間に牙を向けるという、彼なりの葛藤が強く描かれている。

人間でありながら妖精たちの執行人として働くムゲン
人間でありながら妖精たちの執行人として働くムゲン[c]Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

特にフーシーの心の内を読み解くのは難しいが、MTJJ監督も彼には強い思い入れがあるようだ。「フーシーは心の中に矛盾を抱えています。だから彼は、ストーリーの中で葛藤を生みだすポイントになりました」と説明。続けて、「実はフーシー以外の登場人物はそれほど複雑ではありません。フーシーは執拗なくらいにまっすぐで、たとえそれが間違っていると思われても、あきらめません。それくらい自分の目標にまっすぐであるからこそ、観客が“かわいそう”や“憎たらしい”など様々な感情を抱き、愛されるキャラクターになったと思います」と語るなど、彼の持つ内面の複雑さが大勢を惹きつける要因であることがうかがえる。

フーシーは植物を操ることができる
フーシーは植物を操ることができる[c]Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

対するムゲンについては、「ムゲンは、このシリーズの中でも早い段階で出来あがったキャラクターです。すでに齢何百歳で、考えるべきことはもうとっくに答えをだしている人です。その分、安定して魅力的に映るキャラクターになったと思います」と解説。達観しつつも芯の強いムゲンと、目標に向けて突き進み、感情の起伏も大きいフーシー、対照的な2人と、彼らに挟まれ心が揺れ動くシャオヘイの関係性が作品をよりドラマチックに作り上げている。

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