話題の中国アニメ『羅小黒戦記』監督にメールインタビュー!妖精たちのバトルを描くこだわりを訊く
森羅万象を操る大迫力の能力バトル!
シャオヘイたち妖精には様々な森羅万象を操る能力があり、能力の属性に応じて金属や木、氷や空間などを操り、時には戦闘にも使用している。これらの能力を駆使したバトルシーンは圧巻で、アクロバティックな動きでスクリーンを駆け回る妖精たちの緩急ある動きも合わさり、見ごたえのある映像になっている。植物をコントロールできるフーシーが木や蔦で攻撃し、それを金属性のムゲンが両腕の手甲や刀のような武器を自在に操って防ぐなど、バトル漫画のような熱い戦闘描写が何度も繰り広げられていく。
WEB版の大部分は日常シーンで構成されているが、アクションシーンを描くことは念願だったそう。MTJJ監督も「WEB版は制作コスト上の制限のため、ちゃんとした戦いのシーンは作れなかったのですが、劇場版でみなさんにお見せすることができました」と率直な気持ちを吐露。そのこだわりについては、「なるべく魅力的に見せたいです。アクションやキャラクターを動かすことへのこだわりは、戦いのロジックと(人物の)感情かもしれません」と明かすなど、キャラクターの心情に寄り添ううえでもアクションを重視しているようだ。
WEB版へとつながる現実にもリンクする世界観
WEB版は人間界をさまよっていた子ネコのシャオヘイが一人の少女と出会い、共に暮らす様子をほのぼのと描いている。一方、劇場版は自然と街開発の衝突という現実的なテーマを扱う独立した作品にも見える。しかし、「(本作は)WEB版の第1話より前のエピソードをアレンジして脚色したものです。もともとはシャオヘイが人間の姿になってシャオバイ(WEB版の少女)と会った時に、(思い出話として)話す内容でした」という監督の言葉もあり、構想自体は以前から存在していたそう。さらに妖精と人間の対立、2つの世界の均衡とぶつかり合いを描くことで、現在の世界情勢にもつながる作品になっているからこそ、大勢の観客の心を惹きつけているのだろう。
今回の日本語吹替版には、シャオヘイ役の花澤香菜にムゲン役の宮野真守、フーシー役の櫻井孝宏。さらに、杉田智和、豊崎愛、水瀬いのり、チョー、大塚芳忠と若手からベテランまで、人気と実力を兼ね備える豪華声優陣が集結した。これには、「ドラゴンボール」や『天空の城ラピュタ』(86)に夢中だった日本アニメファンだというMTJJ監督も「とてもうれしいです!」と感激だった様子。
2021年にはWEB版の新シリーズが中国で配信される予定。今後シャオヘイの物語がどのように続いていくのか。そんな想いを馳せながら、ハイクオリティの映像美で展開される本作をスクリーンで堪能してほしい。
文/平尾嘉浩(トライワークス)