ミイラや標本も並ぶ、妖怪ワールドを堪能!「荒俣宏の妖怪伏魔殿2020」に潜入
11月6日に埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」にグランドオープンした「角川武蔵野ミュージアム」。同館で現在、妖怪研究の第一人者である荒俣宏監修による「荒俣宏の妖怪伏魔殿2020」が開催されている。本展覧会では、日本全国の妖怪たちが、現存の資料や荒俣語録と共に紹介されているが、なかにはここでしら見られない妖怪ファン垂涎の展示物もお披露目されている。
まずは、怪しげな「伏魔之殿」の門を入っていくと、新進気鋭のイラストレーターが描く原始~現代までを網羅した妖怪絵巻が。あちこちに、垂れ幕やカードでアラマタ語録も紹介されているが、なかには「妖怪はちょっとHだよ」と言った、思わずクスっと笑ってしまうつぶやきもあってたまらない。
イラストでは、のっぺらぼうや手の目など、馴染みのある妖怪も多数登場していて、隅々まで見入ってしまう。
妖怪をモチーフにした小説で知られる京極夏彦のコレクションを展示するコーナー「京極の匣」では、著書のカバーが壁面にずらりと勢揃い。また、妖怪通をうならせるのが、稀代の珍品蒐集家、三田平凡寺の珍コレクションで、まさに魂が宿っていそうなゲキレアな水墨画を拝むことができる。
荒俣が製作を務めた『妖怪大戦争』(05)の妖怪たちのオブジェが並ぶコーナーでは、映画の世界観に迷いこんだような気持ちになれて、かなりテンションアップ。製作総指揮に名を連ねる新作映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(2021年公開)のキャラクターが楽しく踊る映像コーナーも実に愉快だ。
また、よく道端に祀られている名もなき道祖神のコーナーでは、秋田のワラで作られた人形道祖神がインパクト大。6体並んでいるが、いまにも歩きださんばかりの勢いだ。
特筆すべきなのは、妖怪のイメージを具現化したミイラと化石の数々。「件のミイラ」や「ツチノコの標本」などには、思わず息を呑む。
最後は、一般公募した妖怪の画がプロジェクションマッピングで展示されている「みんなの妖怪絵 角川武蔵野妖怪絵コンクール」のコーナーへ。クリエイティブなイラストの数々を観ると、『妖怪大戦争 ガーディアンズ』への期待も膨らんでいく。
あらためて妖怪の奥深さやおもしろさを再確認できるこの展覧会。ぜひ新作の公開を控えるいま、この新しいミュージアムを訪れて、たっぷりと妖怪ワールドに浸ってほしい。
取材・文/山崎伸子