北村匠海と小松菜奈が『さくら』号泣シーンの舞台裏を語る「泣きすぎて、顔が動かなくなってしまうシーンもありました」
「泣きすぎて、顔が動かなくなってしまうシーンもありました」(北村)
薫役と、本作のストーリーテラーとしてモノローグも担当した北村。「薫としての主観と、ナレーションをする俯瞰的な視点を、自分のなかで分けなきゃいけなかったので、そこは大変でした。俯瞰で見ようとしても、気持ちが乗ってしまうことがあったし、タイトな撮影のなか、せっかく皆で作り上げたシーンを、僕のナレーションで壊してはいけないという責任も感じていたので」。
薫役については「無個性な自分が嫌いで、一への憧れと、美貴へのちょっとした嫉妬や劣等感といったネガティブな気持ちを抱えていますが、それが薫自身のエネルギーにもなっていたのかなと。コンプレックスを糧に生きている少年だったので、演じるうえでの難しさはあまりなかったです。また、相手の気持ちを受け取る側の芝居をここまでやったのは、久しぶりでした。相手のお芝居によってこっちも変わるので、すごく気持ち良く涙を流せた場面が何度もありました」。
特に、小松演じる美貴に対して、感情をぶちまけるシーンは、見ていて息が詰まるほどにせつない。
「けっこう苦しかったです。時に感情的な演技をしている自分を冷静に引いて見ることもあるんですが、本作に関しては、どっぷりと入り込んでいる瞬間がたくさんあり、受け芝居としては非常におもしろかったです。ただ、泣きすぎて、顔が動かなくなってしまうシーンもありました。でも、そういう感情にさせてもらえたことが、すごくありがたかったです」と、小松に感謝する。
小松も同シーンは「すごく難しいシーンで、私もめちゃくちゃ悩みました」と激白。
「重く沈んだ表情でいくのか、普段通りの表情で入っていくのかと、いろいろと考えたし、ある手紙を読む時も、どんなふうに読めばいいのか、脚本を読んだ段階ではまったく想像がつかなかったです。自分のなかでたくさん細かい選択肢がありすぎて、演じる前は迷ったんですが、考えてやるシーンでもないなと思ったので、現場で感じたものを出していきました」。
実際に、そのシーンの撮影では、リハーサルの段階で小松が号泣してしまったそうだ。北村は「小松さんが涙腺全開で泣いていたので、大丈夫かなと心配になったんです。ただ、こちらもそれを受ける側だから、僕自身も段取りの段階で、同じように大泣きしてしまいました」と2人で役に入り込みすぎて、泣きっぱなし状態だったそうだ。
小松は「本番前に出し切っちゃった感もあって、途中でマズイんじゃないかとも思い、めちゃくちゃ葛藤していました。脚本上で、薫が泣くところからは、もう流れに委ねようという感じで、やっていきました。あれが正解だったのかは、いまだに分からないですし、いままでやったなかで、一番難しいシーンでした」と告白。