稲垣吾郎、愛に溺れる男に「憧れたりする」『ばるぼら』舞台挨拶で恋愛観を告白
手塚治虫が1970年代に発表した大人向け漫画を手塚眞監督が実写映画化した『ばるぼら』の公開記念舞台挨拶が11月21日に都内で開催され、稲垣吾郎、二階堂ふみ、手塚監督が登壇。愛に溺れていく男、美倉を演じた稲垣が「(美倉は)周りが見えなくなって、愛の逃避行をしたりもする。少し憧れたりはする」と告白。「実際の僕の方がもっと冷静。これからどうなるかわからないですけれど」と笑顔で恋愛観を明かした。
手塚治虫が禁断の愛とミステリー、芸術とエロス、スキャンダルやオカルティズムなど様々なタブーに挑み、その独特な世界観から“映像化不可能”と言われた原作を、初めて映画化した本作。“ばるぼら”という名の謎の少女に翻弄される小説家、美倉の奇怪な体験を描く。
稲垣は、ばるぼらを演じた二階堂とは今回が初共演。「ばるぼらは難しい役。二階堂さんがばるぼらとして、そのまま存在してくれたおかげで、僕も演じることができた」と二階堂に感謝。「主人公の美倉の才能がさらに開花していくのは、ばるぼらとの出会い。ばるぼらがミューズ」と分析し、「最後まで、僕が役をまっとうすることができたのは、二階堂さんのおかげだと思う。この作品において二階堂さんは、僕にとってのミューズ」と称えていた。
二階堂は「稲垣さんは、私が物心ついた時からスター。トップで活躍されている方」と稲垣との共演を喜び、「稲垣さんの持っていらっしゃる聡明さ、博学な部分が、このキャラクターとしてとても魅力的になるんだろうなと感じていた。学ばせていただくことが数多くあった。貴重な経験をさせていただいた」と語っていた。
撮影監督をクリストファー・ドイルが担うなど、撮影現場は国際色豊かなものだったという。この日はドイルからメッセージが届くひと幕もあり、稲垣は「夢のような時間を過ごすことができた」としみじみ。「(撮影は)3週間の出来事。その灯火のようなものが、ずっと僕のなかで消えないでいる。そういう意識があると、またどこかで再会してご一緒できるのではと、勝手に思っている」と再会を望んでいた。
また手塚治虫の実子である手塚監督は「父親は、昔のヨーロッパの映画の雰囲気がすごく好きだった。ですから主役の俳優に関しては、絶対に美しい人がいいと思っていたと思う」と口火を切り、「この二人ならば完璧です。父親も太鼓判を押す二人」とキッパリ。「内容については、本人が観たらああだ、こうだと突っ込んでくるとは思う」と笑いつつ、「ですがイタリアの『ファンタ・フェスティバル』という国際映画祭で最優秀作品賞をいただきました。それを僕以上に喜んだのは、父親だと思う。親子共々、飛び上がって喜びたい気持ち」と胸を張っていた。
取材・文/成田 おり枝