森崎ウィンが語る、『レディ・プレイヤー1』撮影秘話やおすすめの中国SF、コロナ禍で感じた想い
「アジアを代表するエンターテイナーの1人になることが、いまの自分にとっての目標です」
イベントでは、最近観て興奮したSF映画について中国映画『流転の地球』(19)や、Netflix配信作『上海要塞』(19)を挙げていた森崎だが、2作について「とてもアジアらしさを感じた」と言う。
「いままで観てきた規模の大きくてド派手なSF映画は、自分の見慣れない場所が舞台となっていて、すべてが異空間だと感じ取れていたんですが、この2作は中国製作の映画ということで、周りの景色がすごくアジアだなと思ったんです。僕はミャンマー出身ですが、屋台など、身近に感じられるものが出てくるのに、飛行機の登場シーンなどは、ハリウッドに負けない壮大な画になっているというギャップがすごくおもしろくて。アジアでもここまでのことができるんだ!と感激しました」。
すでにハリウッド進出を果たしている森崎だが、「あの時は運が良くて、ハリウッド映画に出演できたことには、純粋に感謝しています。でも、まだ1本しか出演できてないし、あの映画をきっかけにハリウッドからすごいオファーが来ているわけではないというのが、リアルな現状です。だから、そこに対してあまりおごってないというか、『今後、LAに行って頑張るぜ』といった感じの変な勘違いはしたくないとも思っています。実際、当時の現場で、改めて自分のルーツや、自分に足りないところをすごく痛感したので」と、あくまでも謙虚な姿勢を崩さない。
「いまは、日本でもたくさんお仕事をいただいているので、そういう意味では一つ一つをきちんと頑張っていくことを踏まえたうえで、僕はミャンマー出身だから、まずはアジア映画、タイやインドネシアの映画をもっと勉強して、アジアを代表するエンターテイナーの1人になる、ということがいまの自分にとっての目標です。なぜ、中国のSF映画を観たかというと、アジア映画がいま、どこまでのレベルまで来ているかを知りたかったから。もちろん、またハリウッド映画に出演したいという気持ちはありますし、向こうでオスカーにノミネートされるような役者になりたいという夢は変わらないけど、その前に、まずはアジアに目を向けて頑張ってみたいです」。
また、コロナ禍で、改めてエンターテインメントの世界に自分がいる理由について考えたという森崎。
「昔は有名になりたいとか、ワーキャー言われたいという気持ちがありました。でもいま30歳になって、まだこの仕事を続けたいと思う理由を改めて考えてみたんです。もちろんこの仕事が好きという気持ちが前提にあるし、苦手でできないことも多く、もっともっと挑戦したいとも思いますが、一番大きいのは、ミャンマーの子どもたちや同じミャンマー人が『日本で頑張ってる』『同じミャンマー人として誇りを持てる』と応援してくれていることです。日本でもアイドル時代からずっと応援してくれている方から『ウィンくんがここまで大きくなった』と喜んでくださるコメントなどをいただくと、『作品を通してだけじゃなく、森崎ウィンとしても人に影響を与えられているんだ』と再認識できます。自分が頑張れる理由がまた増えたなと、コロナ禍で思えました」。
最後に、2021年の目標については「僕たちの仕事は、求められてなんぼってところがあるので、こういう作品をやりたいという目標の立て方はナンセンス」としたうえで「いま僕が立てようとしている目標は、来年どれだけ、自分が必要なものを吸収できるか、ということです」と語ってくれた。
「最終的にはアジアの映画に出たいんです。僕は英語をすごくしゃべれると見られがちですが、まだまだ仕事をするうえでの英語力までいけてないから、英語をもっと勉強したい。また、たくさん作品を観て、そこで出会った先輩の役者さんたちの作品もチェックしたい。つまりいままで以上に、違う目線からインプットしていきたいなと。コロナの状況もありますが、仕事に関係なく、純粋に向こうの空気を感じるために、海外にもプライベートで行きたいですし。とにかく自分の大きな目標のために、必要なものを得ていきたいです」。
取材・文/山崎伸子