『AKIRA』『マッハGoGoGo』からの影響も?ヨン・サンホ監督が明かす『新感染半島 ファイナル・ステージ』の舞台裏

インタビュー

『AKIRA』『マッハGoGoGo』からの影響も?ヨン・サンホ監督が明かす『新感染半島 ファイナル・ステージ』の舞台裏

韓国に広まったゾンピ・パニックをエモーショナルな人間ドラマとともに描き、世界を熱狂させた『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)。その前日談となるアニメーション『ソウル・ステーション パンデミック』(16)も好評を博し、監督ヨン・サンホの名は一躍、世界中に広まった。そんな彼が、前作から3年の時を経て放つ待望の続編『新感染半島 ファイナル・ステージ』(2021年1月1日公開)。ディストピアと化した韓国で、あるミッションに挑むことになった男を待ち受ける運命とは?エンターテインメント性を増した物語は、前作以上に強く観る者の心を引きつけ、すでに韓国はもちろんアジア各国でヒットを飛ばしている。本作に、どんな思いが込められているのか?ヨン監督に話を聞いた。

【写真を見る】「シリーズ3作を全て違う作品として作った」とヨン・サンホ監督
【写真を見る】「シリーズ3作を全て違う作品として作った」とヨン・サンホ監督[c]2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.

「シリーズ3作をすべて違う作品として作りました」

――『新感染半島 ファイナル・ステージ』は『新感染 ファイナル・エクスプレス』とも『ソウル・ステーション パンデミック』ともテイストが異なりますが、シリーズ3作をまったく違う作品にした理由は?

「最初に作ったのは『ソウル・ステーション~』で、これは残酷で、ブラックユーモアにあふれた作品でした。『新感染~』をつくるにあたり、同じことをしたくなかった。まったく違うけれど、繋がりがあるということは、多くの観客を驚かせることになりますからね。『新感染半島』も同様です。そして、それによってアポカリプス、つまり終末世界を追求できると考えたのです。私自身このシリーズ3作をすべて違う作品として作ることを大いに楽しみました」

主演は韓国の国民的スター、カン・ドンウォン
主演は韓国の国民的スター、カン・ドンウォン[c]2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.

――『新感染~』で生き残った女性キャラクターたちは観客の共感を誘いましたが、それらをバッサリ切り捨てて、まったく新しい物語を描くのは、もったいない気もしますが、迷いはなかったのでしょうか?

「彼女たちを登場させたいという気持ちもなくはなかったのですが、同時に独立した物語を作りたいという欲求もあったのです。最終的には、独立した物語を作るのであれば、いっそ彼女たちを登場させない方がよいだろうと判断しました」

――『新感染~』では人間vs感染者という構図が出ていましたが、『新感染半島〜』は人間vs人間の構図が明確に表われていますね。そこに重きを置いた理由を教えてください。

「前作はアポカリプスの初期で、人間にとってゾンビは明らかな脅威でした。本作で描かれる世界は完全なるアポカリプスで、ゾンビは脅威というより環境の一部になっている。そこに変種のゾンビのようなキャラクターがいるとしたら?と考えたとき、希望のない暴力的な人間たちがゾンビのように思えてきたのです」

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