伝説の『美少女戦士セーラームーンR』から『S』『SuperS』、『Eternal』へ…劇場版の軌跡をたどる
セーラー戦士たちが子どもたちを連れ去る難敵に挑む!『美少女戦士セーラームーンSuperS セーラー9戦士集結! ブラック・ドリーム・ホールの奇跡』
1995~96年にかけて放送された第4期「美少女戦士セーラームーンSuperS」は、“夢”というテーマが強調され、ストーリーの軸はちびうさとペガサス/エリオスの交流が中心となり、ルナとアルテミスの娘であるダイアナも登場。その映画化作品となる『美少女戦士セーラームーンSuperS セーラー9戦士集結! ブラック・ドリーム・ホールの奇跡』も、放送中の1995年に公開された。
まことのマンションでクッキーを作っていたうさぎたちは、ちびうさの形の悪いクッキーを笑う。傷付いたちびうさはそのクッキーを持って町に出て、ペルルという不思議な男の子と出会う。一方でうさぎたちは、世界中の子どもが夜中のうちに連れ攫われるという奇怪な事件を知る。
その夜、不思議な笛の音に操られるようにして、ちびうさがまるで夢遊病者のように外へ出ていった。それを知ったうさぎたちセーラー戦士は、敵の根城であるトルテ城へたどり着く。地球の支配をたくらむバティヤーヌは、夢多き子どもたちのエナジーを利用してブラック・ドリーム・ホールを成長させ、地球を飲み込もうとしていたのだった…。
ちびうさと、お菓子を踊らせることができる少年ペルルとのふれあいがファンタジックなタッチで描かれる本作。セーラー戦士9人の変身シーンもあり、ファンにとっても見応えのある作品に仕上がっている。
本作と合わせて、セーラーマーキュリーこと水野亜美を主役にした短編『美少女戦士セーラームーンSuperS外伝 亜美ちゃんの初恋』も同時上映されている。全国模試で同率1位を獲得した謎の受験生、メルクリウスという存在が気になる亜美。ライバル出現に熱くなる彼女はますます勉強に勤しんでいくが、極度の疲労状態に。その背後には不吉な影が迫っていた…。
亜美の高校受験中のエピソードで、普段知的なイメージの強い彼女のコミカルな一面が描かれている。エンディングに流れる名曲「“らしく”いきましょ」と亜美の晴れやかな笑顔がさわやかな余韻を残す、清涼剤的な好編に仕上がった。
最新の映像技術で帰還!ちびうさの初恋も描かれる『劇場版「美少女戦士セーラームーン Eternal」』
2014年~15年にかけて第1期と第2期がWEBで配信、2016年には第3期が地上波放送され、セーラームーン役の三石琴乃を除く声優陣が一新されたことも話題になった「美少女戦士セーラームーンCrystal」シリーズ。本作を映画化したのが、前後編で展開される『劇場版「美少女戦士セーラームーン Eternal」』だ。
90年代アニメシリーズの「美少女戦士セーラームーンSuperS」と同じく原作の「デッド・ムーン編」に相当する物語で、ペガサスのエリオスとちびうさの淡い初恋や、セーラー戦士たちの成長が物語の中心となる。
街が今世紀最大の皆既日食でにぎわうなか、うさぎとちびうさは、ゴールデン・クリスタルの封印を解く“乙女”を探すペガサスのエリオスと出会う。時を同じくして街には、悪夢の化身レムレスをばらまいて“幻の銀水晶”を手に入れ、月と地球、そして宇宙をも支配しようと目論む謎のサーカス団“デッド・ムーンサーカス”が出現。自分のせいで恋人の衛を危険な目に遭わせてしまうと悩むうさぎの一方で、ちびうさは自らを必要としてくれるエリオスに恋心を抱き始める。
原作者の武内を総監修に迎え、第3期に続いて「のだめカンタービレ」などの今千秋が監督を務める。音楽を重厚感あるサウンドで知られる高梨康治が担当するほか、90年代テレビシリーズでもデザインと作画監督を務めた只野和子がキャラクターデザインで参加していることも、ファンにとってうれしいポイントだ。
長きにわたってファンに愛され、いまなお熱く盛り上がり続ける「美少女戦士セーラームーン」。最新作とあわせて過去の劇場版も観直してみれば、その歴史をより深く実感できるはずだ。
文/サンクレイオ翼