三石琴乃が5000字で語る、セーラームーンと歩んだ30年「“あの頃”の女の子に、トキメキを届けたい」
1991年に漫画誌「なかよし」(講談社刊)で連載が開始され、翌1992年から放送されたテレビアニメとあわせ、またたく間に子どもたちの心をつかんで社会現象を巻き起こした、武内直子による名作漫画「美少女戦士セーラームーン」。劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』では公開中の前編、2月11日(木・祝)公開の後編の二部にわたり、地球の侵略をもくろむ敵組織“デッド・ムーン”とのし烈な戦いが描かれている。MOVIE WALKER PRESSでは、90年代アニメシリーズから一貫して主人公・セーラームーン/月野うさぎを演じる三石琴乃に、初期シリーズから30年近く演じ続けるセーラームーンへの想い、変化した部分と変わらない部分、そして自らが夢を追いかけていた時代の経験までを、約5000字にわたってたっぷりと聞いた。
華麗な映像美は格段にパワーアップしながらも、キャラクターの関係性や変身シーンの演出など、当時を思い出させてくれる構成も随所にみられ、“あの頃”を知るファンにも嬉しい仕上がりとなった本作。
今世紀最大の皆既日食の日に、うさぎとちびうさは助けを求めるペガサス/エリオスに出会う。時を同じくして新たな敵が現れ、平穏な日常を送っていたうさぎたちは再び戦いの渦に飲まれていく。前編ではちびうさとエリオスの淡い初恋や、セーラー4戦士たちが夢と使命の間で悩みながらも成長していく姿が描かれていたが、後編では、いよいよ外部太陽系4戦士が戦地へと駆けつけ、デッド・ムーンとの全面対決の火ぶたが切って落とされる。
「『美少女戦士セーラームーン』の魅力は、彼女たちが過ごす何気ない日常のシーンにある」
2014年からスタートした、原作に準拠した新作アニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」。その最新作が劇場版二部作で製作されることが発表されたのは、2017年のことだ。製作決定時をふり返り、三石は「うれしい気持ちと、心配な気持ちが入り混じっていました」と語る。
「今回の製作を聞かされたのは、『Crystal』の収録が終わった頃でした。そのとき収録していた『デス・バスターズ』編(第3期)に続く『デッド・ムーン』編は劇場版で製作されると聞いて、正直『え!?』とおどろきの気持ちがありました。セーラー戦士たちがスクリーンで活躍する姿はとても観たいけれど、原作第4期はボリュームもしっかりとあるお話ですから、映画という限られた時間のなかでストーリーを描ききれるのかなと、作品が大切だからこそ心配な部分もありました」。
三石は、「セーラームーン」という作品にはバトル要素だけではなく、少女たちの何気ないやりとりや心の動きにも秘められた魅力があるのだと話す。
「デッド・ムーンとの戦いだけにフォーカスすると、『セーラームーン』のいいところというのが減ってしまう。『セーラームーン』の魅力のひとつは、彼女たちの日常の姿にあると感じているんです。うさぎたちの何気ない会話や学校の行き帰りのやりとり。そんな彼女たちのキャラクター性が存分に発揮される“日常”のシーンをカットしてほしくないなと思っていました」。
結果として、この心配は杞憂に終わったといってよさそうだ。
「良い所が凝縮されていて今(千秋)監督に感謝!でした。お気に入りは、デッド・ムーンが潜伏している遊園地にみんなで偵察に行くシーン。偵察なのに、まるで“遊びに来た”みたいなテンションのうさぎちゃんがいて(笑)。ちびうさちゃんとのやりとりも楽しかったです。それから、ちびうさとうさぎの見た目の年齢が入れ替わってしまうシーンでは、大人の姿になったちびうさがパートナーであるネコのダイアナにいつものように『スモール・レディ』と呼ばれ『いまのあたしはスモールじゃないわよ』と応えるシーンがあるのですが、それに対してダイアナが『レディ』と呼んであげるんです。ふたりの関係性が見えるようで、とってもかわいいなと感じました」。