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心の傷は「“癒す”のではなく“癒える”もの」柄本佑が語る、役者としての原動力

インタビュー

心の傷は「“癒す”のではなく“癒える”もの」柄本佑が語る、役者としての原動力

「役者としての原動力は、家族の存在」

「家族が元気でいてくれるだけで、前に進む力をもらえる」
「家族が元気でいてくれるだけで、前に進む力をもらえる」撮影/河内 彩

映画『美しい夏キリシマ』(02)のオーディションで主役を掴み取り、俳優デビューした柄本は現在、34歳。映画、ドラマに引っ張りだこで、『きみの鳥はうたえる』『素敵なダイナマイトスキャンダル』(ともに18)など一筋縄ではいかないような役どころで高い評価を受け、また吉高由里子主演のドラマ「知らなくていいコト」では、包容力あふれる大人の男を好演して世の女性たちをキュンとさせるなど、ますます魅力的な俳優として進化を遂げている。

そんな柄本にとっても、「具体的な誰かを思い浮かべて、作品づくりに取り組む。しかもみんな一体となって同じ方向を向いて、その人たちのために作品づくりができるなんて、初めての経験だった」という本作。「ものすごく緊張したし、なんとか安先生のご家族に喜んでもらいたいという気持ちで、臨んでいました。演技が上手いとか下手とか、そういうものもすべて超越した作品づくりになっていた気がします。原動力としては、もっともシンプルで、もっともいい形だったんじゃないかな。これはなかなか得難い経験」と振り返り、「役者人生のなかでも、記念碑的な作品になった」という。

憧れの先輩たちからの言葉も励みになっている
憧れの先輩たちからの言葉も励みになっている撮影/河内 彩

本作を観た、父親で俳優の柄本明からは、「あれ、おもしろかったな」との言葉をかけてもらったそうで、「あまりそういうことを言わない人ですから、なんだかうれしかったですね」と目尻を下げる柄本。役者として邁進するうえで、一番の支えになるのは「家族の存在」だと語る。


「父親や弟もそうだけれど、妻や子どもなど、家族が元気でいてくれるだけで、前に進む力をもらえます。元気でいてくれるからこそ、安心して仕事に取り組めるし、没頭もできる。それがなによりの僕の原動力」。同時に憧れる役者の先輩たちと過ごす時間も、みなぎる瞬間だ。「一度、(石橋)蓮司さんに『お前、いいじゃねえか』と言っていただいたことがあって。ものすごくうれしかったですね。あと橋爪功さんにも『(芝居)うまいんだな』と声をかけていただいたことがあり、『よっしゃ!』となりましたね(笑)。驚いたし、そう言っていただければいただくほど、『もっと頑張らないと』と、身が引き締まる想いがしました。自分自身、憧れているような方にそんな風に言っていただけるとものすごく励みになるし、この先がまた楽しみにもなりました」と清々しい笑顔を見せていた。

取材・文/成田おり枝

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