X JAPANはなぜ熱狂を呼ぶのか?彼らの壮絶すぎる過去とその真相
日本が世界に誇るロックバンド、X JAPAN。NYのマディソン・スクエア・ガーデンでライブを行うなど、近年の活躍ぶりはご存知だろうが、彼らにとって初のドキュメンタリー映画『WE ARE X』(3月3日公開)ではその波乱万丈の歴史が明らかになる。
米アカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した映画『シュガーマン 奇跡に愛された男』(12)の製作陣が手がけた本作。スティーヴン・キジャック監督の手により紡ぎ出されるX JAPANの“物語”はあまりにも壮絶だ。いま改めて振り返ってみても、何より衝撃的なのがHIDEとTAIJIの若すぎる死だろう。
1997年いっぱいで活動を休止し、各メンバーがソロ活動をはじめるなか、hide with Spread Beaverなど自らのユニットを結成し活躍していたHIDE。直前まで精力的に音楽活動を続けていただけに、X JAPAN解散の翌年に起きたその突然すぎる死は、ファンが集った告別式も含め実にセンセーショナルに報じられた。
HIDE同様、メジャーデビュー時のメンバーであり、1991年まで共に活動し、以降、LOUDNESSなどのバンドで活躍したベーシストのTAIJIも2011年に亡くなっている。脱退するも、2010年にはスペシャルゲストとして同じステージに立っていただけにその衝撃は大きかった。
1997年のX JAPAN解散もボーカルのToshlがヒーリング歌手を目指すためにバンドを脱退したのがきっかけだった。週刊誌報道の通り、洗脳されていたというのが理由だが、その辛い過去は彼の著書にしたためられている。
また、バンドの顔であるドラマーのYOSHIKIもその過激なドラミングスタイルから、頚椎椎間板ヘルニア、甲状腺機能亢進症といった病気を抱え、いまも満身創痍の状態でステージに挑んでいるのだ。
どんなバンドでもメンバーの脱退、加入はあるが、度重なる“死”という大きな悲しみを乗り越え、X JAPANのメンバーはより固い絆で結ばれてきた。本作を見れば彼らの栄光への道筋が、いかに過酷なものだったかがわかるだろう。
「X JAPANの音楽と物語がなぜ熱狂を呼ぶのか?」――彼らのファンはもちろんだが、ファンではない人こそ“目撃”してもらいたいドキュメンタリーだ。【トライワークス】