脚本家・坂元裕二が感じる菅田将暉、有村架純の魅力とは?同日公開の『ヤクザと家族』と互いにエールも
菅田将暉と有村架純がW主演を務めた『花束みたいな恋をした』の公開初日イベントが1月29日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、菅田と有村、土井裕泰監督、脚本の坂元裕二が登壇。坂元が、自身の感じている菅田と有村の役者としての魅力を語り、菅田は「うれしい」、有村も「ちょっと照れる」と感激した。
本作は「東京ラブストーリー」や「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「カルテット」など多くの連続ドラマを手掛けてきた脚本家の坂元が、2020年の東京を舞台に書き下ろした、オリジナルのラブストーリー。坂元は完成作を観て、「自分自身で書いているので恥ずかしいんですが、素直に沁みて、ちょっと泣きましたね」と告白。「菅田くんがラブストーリーをやりたいと言ってくださった。その時の想いが果たせて感無量です」と菅田との会話から作品が生まれたことを明かしつつ、公開を喜んだ。
菅田との初対面を振り返った坂元は「もっと怖い人だと思っていた」と笑顔で述懐。「菅田くんの前髪がすごく長くて、顔が見えなかった」と話すと菅田も大笑いし、「坂元さんの脚本をされているドラマももちろん観てきた世代。ラブストーリーをやりたかったんです」とうれしそうに語っていた。
本作は、最初から菅田と有村をイメージして書かれた脚本だという。坂元は菅田という俳優について、「初めて映画を観た時から、とても多面的で矛盾したものを抱えた俳優さんだなと常々思っていた。いい人な部分も悪い人な部分もある、純粋な部分もどこかすれた部分もある。闇や光など、二つの反するものを同時に表現できる。とても人間的なものをお持ちになっていて、そういう方はなかなかいない」と語り、「唯一無二の存在さんだと感じています」と絶賛。
有村については、「僕だけが思っているのかもしれませんが、とてもミステリアスで、いつもなにを考えていらっしゃるのかわからない」と微笑み、「ちょっと世間から外れたようなたたずまいが、演技にも感じられていて。なんとも言えない、不思議な手品を見せられているようなお芝居をいつも見せていただいて、感激しています」とこちらも自身にとって、特別な女優だという。
坂本の言葉を聞き、菅田は「うれしいですね。そんなことを思ってくださっていたんだ。最初の印象の時に、光も見えていてくださったということですもんね。安心しました」とニッコリ。有村は「改めてそう言われると、ちょっと照れる。恥ずかしい」とはにかみ、「坂元さんと対談をさせていただいたときも『一生(有村のことが)わからないと思う』と、おっしゃられていて。わからないままでいてほしいなと思います」と語っていた。
コロナ禍において公開がかなったが、坂元は「この映画もそうですが、『ヤクザと家族』も『名も無き世界のエンドロール』たちも同時に公開されている。僕は一緒にタッグを組んでいるつもりでいる」とコメント。同劇場では直前に『ヤクザと家族 The Family』の舞台挨拶が行われており、そこでは綾野剛も『花束みたいな恋をした』と『名も無き世界のエンドロール』のタイトル名をあげて、坂元と同じ想いを明かしていた。菅田も「さっき剛くんが舞台挨拶で宣伝してくれていた!『ヤクザと家族』も観てね」とエールを送り合う形となり、会場からも大きな拍手が上がっていた。
取材・文/成田おり枝