【今月の寅さん:2月編】満男と泉の恋の行方は?寅さんにも様々な出会いが…「男はつらいよ」シリーズ4作品が放送!
山田洋次監督の代表作で、渥美清演じる車寅次郎こと“寅さん”が、毎回温かい笑いと感動を届けてくれる国民的映画『男はつらいよ』。現在、BSテレ東ではシリーズ計49作品の4Kデジタル修復版を毎週土曜日に放送する「土曜は寅さん!4Kでらっくす」を展開中で、この2月には第44~47作が登場する。さて、今月の寅さんはどんな騒動を巻き起こすのか?
就職や母の再婚に思い悩む泉を満男と寅さんが支える…『男はつらいよ 寅次郎の告白』(91)<2月6日放送>
就職活動のために泉(後藤久美子)が上京してくる。満男(吉岡秀隆)に付き添われ、高校の音楽教師に紹介してもらった楽器店を訪ねるが、両親の離婚や母の礼子(夏木マリ)が水商売をしていることが障壁となってしまう。気落ちして名古屋へ戻った泉に、礼子の再婚話が舞い込み、そのことがさらに彼女を悩ませることに。後日、泉が家出したことを知った満男は、送られてきた絵葉書を頼りに鳥取へと向かう。一方、傷心の泉はあてもなく旅していたが、ちょうど鳥取に来ていた寅次郎と出会うのだった。
高3となった泉が、就職に母親の再婚と、身近だが深刻な問題に直面する。そんな彼女への想いは強いが、どうすることもできない満男は自身を不甲斐なく感じてしまう。若者ふたりの青春ドラマに加えて、かつて寅さんと訳ありだった料亭の女将、聖子(吉田日出子)が登場。寅さんとの微妙な関係も描かれている。
寅さんと理髪店店主の恋、満男の嫉妬も描かれる…『男はつらいよ 寅次郎の青春』(92)<2月13日放送>
泉は表参道のレコード店に就職し、満男とも頻繁に会えるようになっていた。一方、寅次郎は宮崎県油津に来ており、理髪店の女主人、蝶子(風吹ジュン)と出会い、散髪と雨宿りしたことをきっかけに彼女の家に泊めてもらうことになる。その翌日、友人の結婚式で宮崎を訪れていた泉が寅次郎と再会を果たすが、寅次郎が足をくじいてしまう。その知らせを電話で聞いた満男は、彼女に会うため宮崎へ。しかし泉は、蝶子の弟、竜介(永瀬正敏)が運転する車に乗って迎えに現れてしまう。
マドンナの蝶子は、店のドアに鈴を付けて、その鈴を鳴らした客と結婚しようと密かに思っており、寅さんがその鈴を鳴らしてしまうという、ロマンチックな大人の恋が展開。満男と泉の青春物語も4年目を迎え、本作では彼の“嫉妬”も描かれることに。ふたりの間に割って入る?漁師の竜介を、『息子』(91)で山田洋次作品に出演した永瀬正敏が演じている。御前様を長年演じてきた笠智衆が本作の公開3ヶ月後に亡くなったため、これがシリーズ最後の出演となった。恒例だった冒頭の夢のシーンも本作が最後で、明治時代を舞台に「ハムレット」を翻訳する寅さんが登場する。
家出した満男を追って瀬戸内海へ向かった寅さんが恋をする…『男はつらいよ 寅次郎の縁談』(93)<2月20日放送>
就職活動がうまくいかない満男は博(前田吟)と大ゲンカし、家を飛び出してしまう。1年ぶりに柴又へ帰ってきた寅次郎がそのことを聞き、満男を連れ戻すため、彼が滞在している瀬戸内海に浮かぶ琴島へと向かう。寅次郎はそこで、神戸で料理屋を営んでいるという葉子(松坂慶子)に出会い、その美しさに一目で恋に落ちてしまう。当の満男も島の仕事を手伝い、看護師の亜矢(城山美佳子)と仲良くなるなど、充実した日々を過ごしていた。
松坂慶子が葉子役で、第27作『男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎』(81)以来となる2度目のマドンナに。彼女の父親でハイカラな老人、田宮善右衛門を新国劇のベテラン、島田正吾が好演する。また、また第1作のマドンナを演じた光本幸子が、第7作『男はつらいよ 奮闘篇』(71)以来久々に冬子役で出演するほか、「釣りバカ日誌」シリーズのハマちゃん(西田敏行)も意外な形で登場する。
倦怠期の主婦に出会った寅さんが思うこととは?満男の新たな恋も…『男はつらいよ 拝啓 車寅次郎様』(94)<2月27日放送>
大学を卒業し、靴メーカーの営業マンとなった満男は、滋賀県長浜市に住む大学の先輩、信夫(山田雅人)から地元の祭りに誘われる。休暇をとって長浜へやって来た彼は、そこで信夫の妹、菜穂(牧瀬里穂)と最悪な出会い方をしてしまうが、すぐに彼女に好意を寄せ始める。祭りを一緒に見学した際に、勇気を振り絞って「付き合ってる人いるの?」と尋ねる満男。菜穂の返事を待っていると、偶然その場に居合わせた寅次郎に「いたっていいじゃねーかよ」と声をかけられるのだった。
題名は渥美が出演した『拝啓天皇陛下様』(63)から取られている。渥美の体調が良くなく、本作でも満男の恋と同時進行で寅さんの恋が描かれるスタイルに。かたせ梨乃演じる琵琶湖畔で撮影旅行をしていた主婦、典子と知り合いになり、彼女から冷えきった夫婦生活の話を聞かされ、「お互いに愛していない」という言葉にどぎまぎしてしまう。寅さんが旅先で出会う売れない演歌歌手役で、小林幸子も出演している。
文/サンクレイオ翼