パク・チャヌク監督がA24と世界的ベストセラーをドラマ化!韓国映画界の世界進出続く
『オールド・ボーイ』(03)や『お嬢さん』(16)で知られるパク・チャヌク監督が、『ムーンライト』(16)や『ミナリ』(公開中)のA24とタッグを組み、ピューリッツァー賞やエドガー賞最優秀新人賞など数多くの文学賞に輝いたベトナム出身作家ヴィエト・タン・ウェンの小説「シンパサイザー」をドラマシリーズ化することがわかった。ウェンが自身のTwitterで発表、「Indiewire」など全米複数メディアが報じている。
ベトナムで生まれ、1975年に家族でアメリカに渡ったウェンが2015年に発表した「シンパサイザー」は、南ベトナム軍に潜入した北ベトナムのスパイを主人公にしたスパイ小説。ベトナム戦争の終結後、南ベトナム軍の将軍らとともにアメリカ西海岸に渡った大尉。実は彼は反乱を画策する将軍の動きを監視する任務を請け負った北ベトナムのスパイだった。将軍のために暗躍し、さらにはベトナム戦争を題材にした映画の製作に関わることとなった彼は、やがてふたつの世界の間で苦悩していくことに。
Twitterに「A24がパク・チャヌク監督を迎えて『シンパサイザー』を映像化することを、ついに発表できて興奮しています」と投稿したウェンは「パク・チャヌク監督の『オールド・ボーイ』は、『シンパサイザー』に大きな影響を与えた作品。この映像化の監督に、これ以上の適任はいません」と強い期待をのぞかせた。また、A24からの正式な発表はまだされていないが、同スタジオの公式アカウントがウェンの投稿をリツイートしている。
1990年代から韓国映画界を牽引し『オールド・ボーイ』で韓国映画史上初のカンヌ映画祭グランプリを受賞。『イノセント・ガーデン』(13)でハリウッドデビューを飾ったパク監督は、2018年にフローレンス・ピューとマイケル・シャノンが共演したジョン・ル・カレ原作の「リトル・ドラマー・ガール 愛を演じるスパイ」でドラマシリーズに初挑戦。その後ドラマシリーズ版「スノーピアサー」でも製作を務め、昨年秋にはタン・ウェイとパク・ヘイル共演の新作映画『Decision to Leave』の制作に着手したことが報じられている。
昨年ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』(19)がアカデミー賞を席巻して以降、これまで以上に世界中から注目を集めている韓国の映画人たち。その先駆者として長年に渡り国内外から評価されてきたパク監督は、どのような形で世界的ベストセラーを再構築するのか。本作の詳しい制作時期やキャスティングなどはまだ不明。続報に期待はふくらむばかりだ。
文/久保田 和馬