人気ゲームの実写からマーベル作品まで…Netflixで独占配信されるソニー・ピクチャーズ作品まとめ
4月9日、Netflixがソニー・ピクチャーズの劇場公開作品に関する独占配信権を獲得したことを明らかにして大きな話題となった。
Netflixの公式アカウントが今回の契約により独占配信となる作品をTwitterに投稿し、より注目を集めた。2022年ソニー・ピクチャーズのラインナップは、人気PS4ゲームの映画化『Uncharted』やマーベル作品『モービウス』をはじめ、伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」を原作にブラッド・ピット、レディー・ガガら豪華キャストが出演する『Bullet Train』、ベストセラー小説を映画化した『WHERE THE CRAWDADS SING』など多数の話題作を控えている。
2006年以来、ソニー・ピクチャーズの主要パートナーは、ライオンズゲート傘下のStarzだった。今回、Netflixとの新たな劇場用映画配信契約は米国内のみが対象で、契約期間は約5年。これは、ソニー・ピクチャーズにとって数億ドルの価値がある。業界関係者によると、ソニー幹部は、Netflixとの契約以外にも他社とも劇場用映画のライセンス契約を検討しているとのこと。
さらに、ソニー・ピクチャーズが制作するすべての配信向けのオリジナル映画について、ファースト・ルック契約を締結したという。この契約では、Netflixがソニー作品を一定数購入することを義務づけているが、ソニーが他の配信事業者に作品を販売することを憚るものではない。また、Netflixは、ソニーの過去作品も、配信タイトルを選択できるようになる。
Netflixは、すでにソニー・ピクチャーズとアニメ作品のライセンス契約を結んでいる。劇場公開やホーム・エンターテイメントのリリース後に、Netflixで独占的に配信される。これにより、「スパイダーマン」、「ヴェノム」、「ジュマンジ」などのシリーズ作品が配信サービスではNetflixで最速配信されることになる。通常、配信は映画の劇場公開から約9か月後に開始されるが、このスケジュールの短期化も契約に含まれている可能性もある。
独占契約はかつて、映画会社にとっては非常に有利で重要な収益源だったが、メディアコングロマリットが新しいストリーミングプラットフォームに供給するためにコンテンツを自社で保持するようになったため、ハリウッドでは絶滅寸前となっている。ワーナーメディアやディズニーは、自社の映画ライブラリを、それぞれHBO MaxやDisney+、Huluといったサービスに独占的に提供している。
今年3月にパラマウント・プラスがデビューして、ハリウッド5大スタジオのうち、独自のストリーミングサービスを持たないのはソニーのみとなった。ソニーは、広義では関連会社のアニプレックスがファニメーションを所有、さらにクランチロールも所有すると米国内のアニメストリーミング市場を独占しかねないとして司法省が買収契約にストップをかけている。
Netflixは、2012年から2016年まではとディズニーもコンテンツ供給契約を結んでいたが、2017年にディズニーが自社プラットフォーム立ち上げ準備のために契約を途中で終了している。ソニー・ピクチャーズの契約は、Amazonなどスタジオ直結ではないストリーミングサービスへの牽制となるだろう。
文/平井伊都子