田口トモロヲ&松重豊&光石研&遠藤憲一が語る、大杉漣がくれた“楽しむ力”「生涯かけて目指す」
「みんな、50歳を過ぎてからやり始めたことがよかった」
ーー『バイプレイヤーズ』の現場ならではの楽しさというものを、どのように感じていらっしゃいますか?
田口「今作はたくさんの俳優の方々が出演していますから、撮影現場で僕ら4人は“元祖バイプレイヤーズ”と呼ばれていたんです。元祖にとっては、漣さんがリーダー。だからこれまでと同じような形にはできないけれど、やっぱり4人で会うと、はしゃいじゃうんです。どれだけ時間が開いたとしても、これまで積み上げた安心感、ムードがある。メンバーが揃った瞬間、培ってきたものが再生するようで、ものすごく楽しかったですね」
松重「この作品の特殊性というのは、やはり実名でやっているということ。俳優でもなんでもない“個人”と“役”というものを、どういう塩梅で見せるかということが大事になります。お客さんもその境目を楽しみたいんだと思うし、僕らも“演技している”というものを見せるよりも、“これは芝居なの?本物なの?”というギリギリのところをやることが、僕らの究極の目的。その虚実を、お客さんにおもしろく見せたいと思っています。みんな普段から劇中で見せる関係性が出来上がっているし、その辺りの“虚実ないまぜ感”というのが、僕らもやっていてすごく楽しいんです」
光石「『バイプレイヤーズ』のメンバーはもともと6人なんですが、その6人がもっと若い時に、こうやって揃って作品をつくっていたら、いろいろなことがあったかもしれません。でもみんなが50歳を過ぎてから、やり始めたことがすごくよかったんじゃないかなと思っています。それぞれ邪魔をせず、節度を持って、品よく芝居ができているんじゃないかと、僕は勝手に思っています」
松重「トモロヲさんの下ネタも品がいいですか(笑)?」
田口「使えないけれど、品位を持った下ネタ!」
光石「そういったところも含めて、『バイプレイヤーズ』ならではなんじゃないかと思っています(笑)」
遠藤「バカ騒ぎをしているうちに、撮影が終わってしまったような気がしています。今回、僕はフィリピンに行っているという場面が多かったので、もっとみんなと同じシーンに出してもらえばよかったなと(笑)。4人のそのままの関係性で撮影に向かえるので、“なにかしよう”と気負うこともありません。日常会話のように、その場で思いついたやり取りをしているので、それができる、いい感じの仲間になれたなと思っています」
「俺たち、嵐と間違われているんじゃないかって(笑)」
ーー「おじさんたちがかわいい」と女性人気も獲得しました。その反応については、どのように感じていますか?
遠藤「シーズン2から衣装にこだわるようになったかも!みんなオシャレになっている(笑)。でもそんなに意識はしていなかったよね?」
光石「シーズン2は千葉の別荘にこもって撮影していましたからね。そんなふうに言われているなんて、全然知りませんでした」
松重「千葉の海に入ってタイトルバッグを撮影している時に、僕らがスーツ姿で海から上がってきたら、地元の方たちがキャーキャー言ってくださって。漣さん含めて、5人でしょ。だから『俺たち、嵐と間違えられているんじゃないかな』って光石さんに言ったら、光石さんは『俺はニノかな』って。その時、『ああ、意識するってこういうことなんだな』って思った(笑)」
光石「冗談で言ったんでしょう!」
松重「“かわいい”を、自分のなかに落とし込んでいるんですよ」
遠藤「劇場版に(有村)架純ちゃんが出ているでしょう?僕は父親のような感覚で、『架純ちゃん、かわいいよね』と言ったら、光石さんは『うん、まあタイプかな』って!気分はアイドルなんです」
光石「だから冗談だって!」
松重「“かわいい”は、光石さんが一番意識されています」
光石「してないよ!」
ーー“かわいい担当”が光石さんだとすると、それぞれ皆さんのご担当はなにになりますか?
松重「僕は世話係です。大杉さんの腹心です」
遠藤「俺は幼稚だからね。はしゃぎ担当!」
田口「“かわいい”と言われているなんて、まったく耳に入ってこなかった。意外ですね。街で女性から『バイブレーターズ観ています!』と声をかけていただいたことはあります。初対面だし、訂正するのもなんだし、『そうか、俺らはバイブレータなんだ!』と思ったことがあります(笑)」