【今週の☆☆☆】松山ケンイチ主演『BLUE/ブルー』、宇宙飛行士の母親を描く『約束の宇宙』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今週は、宇宙飛行士の母親と娘の絆を描いた感動のドラマ、松山ケンイチが負け続きのボクサーを演じる青春映画、そしてアカデミー賞視覚効果賞にノミネートされたNetflix発の痛快アクションの、バラエティに富んだ3本!
途方もない“夢”と、万国共通の切実な“感情”がせめぎ合う…『約束の宇宙(そら)』(公開中)
フランス人女性サラと小学生の娘ステラは心から愛し合っているが、2人はしばしの残酷な別れに立ち向かわなくてはならない。なぜならサラは国際宇宙ステーションに旅立つ宇宙飛行士なのだ!異国ロシアでの訓練に身を投じたサラが、ロケット打ち上げまでの2ヵ月間に経験する幾多の試練を描くこの映画は、仕事と育児の両立に苦しむシングルマザーのジレンマをこのうえなくリアルにあぶり出す。しかも宇宙事業の世界は伝統的に男性社会であり、訓練中にミスを重ねれば即座にミッションから外されかねないサラのプレッシャーは尋常ではない。それでもサラは心身の限界に挑み続け、娘にありったけの思いを伝えようとする。これは途方もない“夢”と、万国共通の切実な“感情”がせめぎ合うヒューマンドラマ。とかくヒロイックに描かれがちな宇宙飛行士ものに新たな視点をもたらした本作には、この特殊な職業にまつわる知られざる現実、そして心揺さぶる瞬間がいくつも刻み込まれている。(映画ライター・高橋諭治)
複雑な心模様が渦巻く、“観たことのない”ボクシング映画…『BLUE/ブルー』(公開中)
自身もボクシングを30年以上続けて来た、『犬猿』『愛しのアイリーン』の?田恵輔による、去りゆくボクサーたちへの讃歌&哀歌。こよなくボクシングを愛し、努力も怠らないが負け続けのトレーナー兼ボクサーの瓜田(松山ケンイチ)と、才能に恵まれ日本チャンピオンに王手をかけた後輩で親友の小川(東出昌大)。彼らの関係と生き様を軸に、ボクシングに情熱を傾ける男たち、それに関わる人々が活写される。瓜田の初恋相手で、小川の恋人に木村文乃。自分の欲しいものすべてを持つ小川に対し、トレーナーとして親身にアドバイスし、親友として恋愛相談にも乗る瓜田の心模様とは――。最後は勝つカタルシス系でも、ヒリヒリ負け犬の美学系でもない、“観たことのない”ボクシング映画。どうしようもなく瓜田の気持ちや感情の動きを探りたくなり、ガン見必至。それでいて最後は、フッと力を抜いて微笑んでしまう不思議な後味。最初は「ボクシング“やってる風”でいいんで…」とジムを訪れ、しだいにのめり込んでいく楢崎役の柄本時生が、作品に絶妙な笑いと味わいをもたらしている。(映画ライター・折田千鶴子)
エンタメの王道を極めた作りで最後まで飽きさせない!…『ラブ&モンスターズ』(配信中)
小惑星が急接近したことで、地球からミサイルで迎撃。その結果、降り注いだ化学物質によって、地上には巨大化した生物が現れ、わずかに生き残った人類は地下の空間で生活する…というSFパニックアクションの設定だが、作品のノリは軽快。別れ別れになった恋人の元へ向かうため、勇気を振り絞って地上での冒険に挑む主人公のジョエルが、ややヘタレ系ということもあって共感度も満点なのだ。やはり最大の見どころは、ジョエルを待ち受けるモンスターたち。基本的に昆虫や爬虫類が巨大化したデザインだが、細部まで生々しいうえに、未体験の“キモかわいさ”。今年のアカデミー賞で視覚効果賞にノミネートされたのも納得の映像体験が約束されている。モンスターとの闘いは、迫力はもちろん、ユーモアもたっぷりだし、ジョエルが旅の途中で出会う相手とのエピソードでは不覚にも感動を誘う瞬間があるなどエンタメの王道を極めた作りで最後まで飽きさせない。主演のディラン・オブライエンは『メイズ・ランナー』に続き、極限サバイバルで成長する主人公が似合いすぎる!(映画ライター・斉藤博昭)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/サンクレイオ翼