秘めた苦悩や心の機微をいかに表現するか…小野賢章×上田麗奈×諏訪部順一が明かす『閃光のハサウェイ』役作りの舞台裏
アムロとシャアの最後の戦いを描いた『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(88)のその後の物語を、「ガンダム」シリーズの生みの親・富野由悠季が記した同名小説を映画化した『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(6月11日公開)。反地球連邦政府運動「マフティー」が起こす新たな戦いを縦軸に、ブライト・ノアの息子ハサウェイ、謎の美少女ギギ、連邦軍大佐ケネスの交差する運命を横軸に重厚な物語が紡がれる。そんな3人を演じた小野賢章(ハサウェイ役)、上田麗奈(ギギ役)、諏訪部順一(ケネス役)の3人に、「ガンダム」シリーズへ参加して感じたこと、演技についてなど話を伺った。
悩んでいる心情の表現を、その都度話し合う
――今回、村瀬修功監督と木村絵理子さん(録音演出)と、演じられたキャラクターについて話し合われたとのことですが、具体的にどのような要望やアドバイスがあったのでしょう?
小野「世界観や舞台設定の基本的な要素を説明していただいた後に、キャラクターの設定や劇中ではどのような心情でいるのかという話をしました。僕が演じるハサウェイの場合は、それまでの経験や立場を踏まえて、ずっと悩んでいるというようなことを言われました。その後、アフレコに入ってからは、監督から『若さと青臭さ、泥臭さみたいなものを表現したい』と言われたのが印象的でしたね。一方で、劇中で人と会話をしている時はあまり悩んでいる姿は見せないので、『悩んでいる』という心情をどう表現していくかを、その都度話し合いながらやっていく感じでした」
上田「私も一緒に作品に関する説明を受けたのですが、監督が『1週間という短い時間の中でハサウェイに影響を受けて、ギギもケネスも少しずつ変わっていく部分がある』と仰っていて。今後どのように変化していくのか、注目しながら作品と向き合っていきたいなと感じました。そしてギギに関しては、モビルスーツに対して何かトラウマがあるのかもしれないというお話も伺うことができました。難しい役どころではありましたが、監督方の言葉から多くのヒントを頂けたと思います」
諏訪部「自分はいわゆるファーストガンダムからの世代。最初の『機動戦士ガンダム』からガンダム作品はずっと履修しているので、世界観や設定に関しての知識は事前にありました。収録にあたって話を伺ったのは、今回の作品におけるケネスのキャラクター、方向性についてですね。彼はしっかりとした軍人ですが、プライベートまでお堅いタイプではなく、素の部分には柔らかさもあります。公私のメリハリがしっかりつくよう演じてほしいというオーダーはあったように思います。ケネスは本作では残念ながらモビルスーツに搭乗しませんが、かつてモビルスーツのパイロットだったという設定があります。そういった要素なども心の中に置きつつ、表情からは読み取れないような心の機微にも迫れるよう努めました」
これまでの共演で培われたものが活きた表現に
――本作は3人のやり取りが主軸となっていますが、お互いに演じるに際し、どのようなコミュニケーションを取られましたか?
諏訪部「新たにどうこうというのは特にありませんでした。小野君とはこれまでも共演する機会が多く、しかも、遠いような近いような間柄の役を数々演じてきたので、その中で培われてきたものがハサウェイとケネスの関係性を表現する上で活きている部分はあると思います」
上田「私も小野さんとはご一緒する機会が多くて。ハサウェイとの会話に活かされていたと思います」
小野「よく知っている2人ではあるんですが、収録中にはあまり無駄話はしなかった気がしますね。とにかくみんなで時間をかけてやっていったという印象が強いせいか、そうした無駄話的なやり取りを覚えていないだけかもしれませんが」