秘めた苦悩や心の機微をいかに表現するか…小野賢章×上田麗奈×諏訪部順一が明かす『閃光のハサウェイ』役作りの舞台裏
「これぞガンダム」というセリフに周囲が反応
――演じながら「今、ガンダム作品に関わっているな」と実感したところはありますか?
小野「もちろん、モビルスーツの戦闘シーンは『ああ、ガンダムに乗っているんだ』という実感をもちましたけど、やはり独特の言い回しですね。それから、会話は進んでいるけど、哲学的な内容をしゃべるようなところは、やはりガンダムらしいなと思いました。ガンダムの歴史の中でずっと、語られ続けながらも、正解なのか分からないという部分を提示し続けた内容が盛り込まれているなと感じました」
諏訪部「やはり独特の空気感みたいなものがあると思います。モノローグの中で自問自答したりとか。ガンダムというか、富野由悠季さんのエッセンスを自分が特に感じるのはギギですね。周りを振り回す、我が道を行く系なのに、他人の顔色をうかがうようなところがあったり。豪胆さと繊細さが入り混じった厄介な女性キャラ。自分は苦手なタイプです(笑)」
上田「PVでも聞くことができる、ギギの『大佐』というセリフ。このセリフに対して皆さんが『これぞガンダムだ』と仰っていたのが印象的で。ギギという人は、本当にガンダムのヒロインなんだなと改めて感じた瞬間でした」
――では、最後に本作の見どころを教えてください。
小野「本作は、『機動戦士ガンダム』と『逆襲のシャア』から直結している物語なので、『逆襲のシャア』を事前に見直していただけると、より『閃光のハサウェイ』の理解度が深まると思います。作品を見終えた後でも、色々と考える余地を与えてくれるような要素も多いので、何回も見直してファン同士で話をしてもらえるとうれしいです」
上田「何と言ってもアムロとシャアの意思を受け継いだハサウェイが葛藤し、苦悩しているという姿がすごくインパクトがあります。ハサウェイを追っていくなかで、もどかしい気持ちをたくさん感じる部分があると思います。それを踏まえて、ここから物語が始まっていくという部分を楽しんで観ていただければと思います」
諏訪部「モビルスーツのバトル・シーンはもちろん大きな見どころですが、深い人間ドラマを楽しめる作品でもあります。現代社会でも懸案事項となっている地球環境問題や様々な対立。それらを解決するにはどうすればいいのか、物語の中の登場人物たちも模索し、苦悩しています。非常に見応えのある、リアルさを持ったシリアスかつハードな展開。より多くの方にご鑑賞いただけますと幸いです。よろしくお願いします」
取材・文/石井誠