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佐藤健×新田真剣佑の“感情”がぶつかり合う…『るろうに剣心 最終章』クライマックスシーンはこうして生まれた

コラム

佐藤健×新田真剣佑の“感情”がぶつかり合う…『るろうに剣心 最終章』クライマックスシーンはこうして生まれた

この日撮影されたシーンは、剣心が自らの過去に決着をつけるために、縁との直接対決に臨むという、『The Final』本編でも大きな見せ場となるシークエンスだ。シリーズの売りと言える、谷垣健治アクション監督による高難易度の殺陣は今作でももちろん健在で、ちょうどこの日は、屋敷のセットの中心に設えられた池の上をアクションと共に移動するという、非常に難しい撮影の真っただなか。気を抜いて挑めば怪我にもつながりうる場面ということもあり、撮影現場にはいつも以上に緊張と熱気が漂っていた。

撮影中も自ら積極的にアイデアを出す佐藤
撮影中も自ら積極的にアイデアを出す佐藤[c]和月伸宏/集英社 [c]2020 「るろうに剣心」最終章 製作委員会

現場での佐藤は、単に主役として出番を待っているだけではなく、座長として現場全体を見渡し、大友監督やスタッフと綿密な打ち合わせを行いながら、自ら積極的にアイデアを出していた。対する新田は、役柄のイメージをそのままに感じさせる寡黙さを身にまといつつ、リハーサルや本番以外でも、スタッフが準備をしている横でアクションの練習に励むストイックさを見せていた。

慎重に何度も繰り返された段取りが終わり、いざ本番の時が近づくと、緊張感はより高まっていき、撮影現場を埋め尽くす多くのスタッフはもちろん、我々報道陣にも、わずかな物音も許されない張り詰めた空気が伝わってきた。そこに大友監督のスタートの合図がかかるや、佐藤と新田の肉体が場の空気を動かす勢いで躍動し、すさまじいスピードで視界を駆け抜けていく。それは、「カット!」の声がかかるのを合図に現実に引き戻されても、しばし呆然とするような迫力をともなっていた。

完成されたアクションシーンに息を呑む
完成されたアクションシーンに息を呑む[c]和月伸宏/集英社 [c]2020 「るろうに剣心」最終章 製作委員会

カメラのセッティングを変え、繰り返してアクションを撮影していく合間、現場の隅に避けて待っていると、セットの壁の方に向き合った新田が、アクションの足さばきを繰り返し練習している姿に出会った。傍から見ていれば完璧に見えたアクションだが、新田は首をかしげながら何度も何度も、休まずにパターンを追求していく。


すると、新田の側に佐藤がすっと歩み寄り、耳元で何事かをささやきながら身体の動きを演じて見せていく。新田も時に大きくうなずきながら、熱心に佐藤の話に耳を傾けていた。完成した作品のこのシークエンスは、まさに現場での2人のやり取りが反映されたような、剣心と縁の身体、そして感情のぶつかり合いを通した“会話”ともいうべき名シーンに仕上がった。

日本映画史上最大のスケールで本作の撮影に挑んだ大友啓史監督
日本映画史上最大のスケールで本作の撮影に挑んだ大友啓史監督[c]和月伸宏/集英社 [c]2020 「るろうに剣心」最終章 製作委員会

このシーンのほかにも、『るろうに剣心 最終章 The Final』は10年間の集大成と呼ぶにふさわしいアクションやサプライズの連続で、静と動を巧みに操って138分を一気に駆け抜ける、絢爛豪華かつ疾走感にあふれたエンタテインメントとなった。

公開前に行われたイベントのなかで、大友監督は「物語は剣心と縁の物語で、復讐というテーマもありますけど、そこに囚われ過ぎない様に、『るろうに剣心』らしいエンタテインメントにしています。最後のお祭りを存分にお楽しみ頂けますと幸いです」と語っていた。ぜひとも劇場で、キャスト、スタッフが一丸となって熱い想いを叩き込んだ、最後の“祭り”を体感してほしい。

取材・文/編集部

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