“裏切り王子”ロキとダース・ベイダー、マグニートー…映画史に残るヴィランの共通点とは?
「ワンダヴィジョン」「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」につづくマーベル・スタジオのドラマシリーズ最新作「ロキ」が、いよいよ6月9日(水)16時よりディズニー公式動画配信サービス「ディズニープラス」にて配信開始される。本稿では、本作の主人公で“裏切り王子”の異名を持つロキと、映画史を代表する名ヴィランとの共通点を探ってみたい。
本作はマイティ・ソーの義弟で『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)から逃げ出したロキを主人公にしたタイムトラベル・スリラー。時空を超えて逃げだしたロキは、懲りずに新たな悪事に着手しようとしたのも束の間、“時間の流れを守っている”という謎の組織TVA<時間変異取締局>に捕まってしまう。そして改変してしまった現実を元に戻すという任務を命じられたロキは、渋々ながら時間を超えた壮大な冒険に挑むこととなる。
幼少期から家族に愛されながら、ソーの陰に隠れる存在として嫉妬心を抱えていたロキ。父であるオーディンとソーとの間に血のつながりが無いことを知ってからは兄への嫉妬心を爆発させ、嘘と裏切りを駆使してアスガルドの王座を狙うように。その後もアベンジャーズのヒーローたちに敵対する存在として、地球征服を目論むなどの行動を起こしてきた。
そんなロキについて、演じるトム・ヒドルストンは「ロキは自分がヒーローだとさえ考えている。ある意味で、誤解されたヒーローだと思います。ロキの行動の動機は、彼が傷つき、自分の居場所を探しているという葛藤からきている。父や兄などの家族に愛してもらおうとして、彼は間違ったやり方で勝ち取ろうとしてしまうのです」と語る。
自らの“正義”で行動しているにもかかわらず、それが周囲から“悪”と捉えられてしまう。このジレンマは、映画史において重要なシリーズに登場するヴィランたちと共通している部分だ。その代表的な存在と言えば、正しい心を持ち、愛する者を守りたいという純粋な想いから“悪”に堕ちてしまった「スター・ウォーズ」シリーズのダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカーであったり、幼少期に悲惨な経験をしたことから、同胞であるミュータントたちを守るために行き過ぎた正義を振りかざしてしまう「X-MEN」シリーズのマグニートーことエリック・レーンシャーが思い浮かぶところだ。
彼らに共通するのは単なる悪に染まるのではなく、それぞれの正義と信念を持って行動していることだ。信念を貫くことで悪役としての深みを増していく、魅力的なヴィランの存在こそ、これらの映画界を牽引してきたビッグシリーズにとって必要不可欠なものだといえる。
いまや世界の映画界になくてはならない「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」。そのシリーズを代表するヴィランであるロキは、本作でどんな魅力的な一面をみせてくれるのだろうか。活躍に期待したい。
文/久保田 和馬