内村光良、『SING』に共感!「いまの若手芸人は何百倍も大変」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
内村光良、『SING』に共感!「いまの若手芸人は何百倍も大変」

インタビュー

内村光良、『SING』に共感!「いまの若手芸人は何百倍も大変」

お笑い芸人、俳優、司会者、映画監督と八面六臂に活躍する内村光良が、『SING/シング』(3月17日公開)でハリウッド映画の日本語吹替えに初挑戦した。内村が演じたのは主人公のコアラ、バスター・ムーン。内村は紆余曲折を経ていくストーリーに自身のキャリアを重ね、大いに共感できたと言う。

『SING/シング』はメガヒットした『ミニオンズ』(15)や『ペット』(16)のユニバーサル・スタジオ×イルミネーション・エンターテインメントのタッグ作。取り壊し寸前の劇場支配人であるコアラのバスターが、かつての栄光を取り戻すため歌のオーディションを開催する。そこに集まってきた個性的な動物たちが、それぞれに歌声を披露していく。

途中でバスターは大失態を犯し、背水の陣に追い込まれるが、その逆境を何とか乗り越えようとする。「自分の夢を持ち続けること、諦めないで続けていくことが大事かなと。『1回ドン底に落ちたら後は上に上がるだけ』という台詞もあるけど、いくら叩きのめされても、夢を持ち続けてさえいればいつか叶うのではないかと」。

内村自身のキャリアは順風満帆なように思えるが、それでも壁にぶち当たったことは何度もあると言う。「『お笑いスター誕生!!』で優勝した後、いいぞと思っていたら番組自体が終わっちゃって、仕事がぱっとなくなりました。21~22歳の時ですが、当時はVHSでヒッチコックやウディ・アレンの映画ばかり観ていました。片っ端から観てそれがいつか身になったんでしょうね。当時“カウチポテト族”とか言われていました。そこから20年後、40歳くらいでまた時間に余裕ができたので、寅さんの『男はつらいよ』や『007』シリーズを全部観たんです」。

コアラのバスターは実に楽観的だが、内村も同じように「なんとかなるさ」と思いながら過ごしていたそうだ。「あまり腐ったりしないで『これも勉強か』みたいな感じで思っていました。自分はギャンブルをしないからそっちの方へはいかなかったです。実際自分はただの映画好きですから、ヒッチコックや『007』を観ると毎回面白くて純粋に楽しんで観ていた感じです。もちろんその間にネタやコントはかなり書いてました。自分が書いたコントがライブなどでかなりウケていたので何とかなるだろうという思いもあったんでしょうね」。

本作で内村のお気に入りのシーンは、追い込まれたバスターが自分の体を使った洗車の仕事を始めるというくだりだ。「自分の体で洗うんですが、トゥラーンドットにのせてやってるところがいいんです(笑)。へこたれないし全然腐ってない。僕はもう50年以上生きてきたからこそ、そんなバスターをやってもいい味が出たんじゃないかな」。

本作ではバスターがいろんな動物たちのオーディションを行っていく。内村自身もいまやオーディションなどでは審査をする側の立場だが、いまの若いお笑い芸人たちの競争率はかなり高いと言う。「我々の時代とは何十倍、何百倍くらい違う。我々の頃はお笑いを目指して上京する人なんてほぼいなかったんです。僕も映画監督を目指して上京したから、お笑いになるとは思ってもいなかったし。でも、いまはお笑いを目指して上京する若者たちが多いし、実際に30代後半でブレイクする人たちも見ているから余計やめないんです。ネタもみんな本当に面白いのに、ここからまだ競争するのかと。もちろん僕だって仕事のない時期はありましたが、それは何十年じゃなくてほんの1、2年くらいの話しだし。そういう意味で僕はいつもラッキーだなと思って見ています。もちろん昔からネタはずっと書いてきましたけどね」。

昨年公開された原作、脚本、監督、主演を務めた映画『金メダル男』(16)も過去の監督作である『ピーナッツ』(06)や『ボクたちの交換日記』(13)も、それぞれに形の異なる人生の応援歌だ。

「普段ぱっとしない人たちが輝く物語が好きですね。自分はスプラッター映画やホラー映画は監督できないと思うので、人が楽しんでもらえる映画や舞台、コントをこの先もずっと書いていきたい。この映画もそうですが人を楽しませたいんです。もう50歳も過ぎましたから、体が元気なうちにたくさん作れたらいいなと思います」。【取材・文/山崎伸子】

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