中年の哀愁が漂いまくり…あの人気ドラマでブレイクしたボブ・オデンカークに注目

コラム

中年の哀愁が漂いまくり…あの人気ドラマでブレイクしたボブ・オデンカークに注目

一見、何者でもないような男が実はめちゃめちゃ強かった…。近年のアクション映画の良作に多く見られるこの手の作品と言えば、主人公が冴えなければ冴えないほど、もたらされるカタルシスは大きくなるものだ。

『96時間』シリーズのリーアム・ニーソン、『ジョン・ウィック』シリーズのキアヌ・リーブス、『イコライザー』シリーズのデンゼル・ワシントンなど、数々の名優たちがこういった役に挑んできたが、彼ら以上にお似合いな姿を見せているのが『Mr.ノーバディ』(公開中)のボブ・オデンカークだ。

コメディの脚本家としてキャリアをスタート!

元々はコメディ畑で脚本家として活躍していた
元々はコメディ畑で脚本家として活躍していた写真:SPLASH/アフロ

名前を聞いてピンと来る人の方が少ないであろうボブ・オデンカーク。彼は元々コメディアンとしてキャリアをスタートさせている。大学卒業後、シカゴに移り、ビル・マーレイらを輩出した名門セカンド・シティのワークショップに参加したり、数年間、劇場に立ち続けたりとスタンダップコメディや即興演劇の世界に身を置いていく。

そして87年に「サタデー・ナイト・ライブ」の脚本家として抜擢されると、89年には同番組の脚本でエミー賞を受賞。91年まで同番組の作家を務めると、92年からは「ベン・スティラー・ショー」の作家を務め、この番組で再びエミー賞を獲得するなど、コメディの才能を見せつけていく。

その後も「レイトナイト・ウィズ・コナン・オブライエン」の作家を務めたり、『プリズン・フリーク』(06)や『最凶家族計画』(07)といったコメディ映画の監督を務めるなど、作り手として手腕を発揮してきた。

ドラマ「ブレイキング・バッド」の胡散臭い弁護士役でブレイク!

ドラマ「ブレイキング・バッド」で一躍知名度を上げたボブ・オデンカーク
ドラマ「ブレイキング・バッド」で一躍知名度を上げたボブ・オデンカーク写真:SPLASH/アフロ

作り手としての飛躍する一方、「サタデー・ナイト・ライブ」をはじめ、演者としてもユーモラスな演技で人気を獲得していくオデンカーク。自身の冠番組「ミスター・ショー・ウィズ・ボブ・アンド・デイビッド」などのTV番組を中心に、映画でもロックオタク役の『ウェインズ・ワールド2』(93)や『ケーブルガイ』(96)といったコメディに多数出演してきた。

そんな彼が日本でもその名を一躍知らしめることになったのが、余命わずかな高校教師が化学の知識を生かして、教子と共に麻薬の精製という危険な副業に手を染めていく様子を描いた大傑作ドラマ「ブレイキング・バッド」だ。オデンカークは本作で、表では一般市民の仕事を引き受けつつ、裏では金のために犯罪者を相手にするソウル・グッドマンというあくどい弁護士役で出演している。

スーツの下にはド派手で安っぽいシャツを着込み、矢継ぎ早に聞こえの良い言葉を並べる調子の良い男をなんとも胡散臭く演じて見せると、グッドマンを主人公としたスピンオフドラマ「ベター・コール・ソウル」も作られるほどのシリーズ屈指の人気キャラクターにまで押し上げて見せた。

「ベター・コール・ソウル」は、本名のジミー・マッギルで活動していた三流弁護士グッドマンがいかにして、「ブレイキング・バッド」のような軽薄な弁護士になっていくのか?ということを描いた前日譚。兄弟間での確執や、ギャングとの繋がりなど、様々な困難が降りかかる中で次第に人格が暴走していく様子をオデンカークは、コミカルさと人間味のある演技で体現し、数々の賞を受賞してみせた。

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