芳根京子、『Arc アーク』の石川慶監督からの手紙に号泣「お見せできないレベルで泣いてます」
芳根京子主演映画『Arc アーク』が6月25日に公開され、同日に新宿ピカデリーで初日舞台挨拶が開催。芳根、寺島しのぶ、岡田将生、清水くるみ、小林薫、石川慶監督が登壇した。『物置のピアノ』(14)以来7年ぶりの単独主演映画に全身全霊で挑んだ芳根は、サプライズで石井監督から感謝の手紙が贈られると、大粒の涙をこぼした。
最初の挨拶から芳根は目を潤ませ、緊急事態宣言が明けで満席となった映画館を見て感無量の様子だった。「たくさんお客さんが入ってくださるのは本当にうれしいし、当たり前なことじゃないと感じています」と言ったあとで「この作品は、もちろんこれから続ける俳優人生としてもそうですが、芳根京子という人生においてすごく大切な1本になりました」と力強く語った。
『Arc アーク』は、ケン・リュウの「紙の動物園」を原作に、『蜜蜂と遠雷』(19)の石川慶が監督、脚本、編集を務めた映画。芳根が17歳から100歳以上を生き抜くヒロインのリナ役を演じた。
リナのパートナーとなる天音役を演じた岡田は、芳根について「共演は2回目でしたが、本当に頼もしくて。でもどこか脆さがあったので、隣で一緒にお芝居をするなかで、支えられたらいいなと思いながら天音役をやらせてもらいました。撮影の日々を思い返すと、やっとここまで来たかと。僕たちを引っ張ってくれた石川監督もすばらしかったです」と感慨深い表情を見せた。
終盤で、娘役の鈴木咲が登場し「映画の公開おめでとうございます」と花束を渡すと、芳根は「咲ちゃんに助けられたところが本当にたくさんあって。自分はこんなに母性本能があるんだなと思ったし、咲ちゃんから引き出してもらったところがたくさんあったので、本当に感謝してます」とコメント。
続いて石川監督がサプライズの手紙を読み上げることが発表されると、芳根は「嫌だ!泣いちゃんもん。もう泣きそうだもん」とすでに涙を浮かべる。
石川監督の手紙には「芳根さんから『ちょっと無理かもしれないです』と最初に言われて。あのとき、芳根さんは大きな岐路に立っていて、これからのことに悩まれていたので、いろんな話をしました。たぶん芳根さんは、こんなに大変な時期なので、こんなに大変な役は難しいですと言いたかったと思いますが、僕は『ああ、リナがいる』と思いました」とあった。
さらに監督は「体当たり、満身創痍で役を生きている芳根さんに負けないように、周りも必死でした。自分にとって特別な作品のど真ん中に、芳根京子という俳優が力強く立っていることを誇らしく思います」と心から芳根を称え、またこれからも節目節目において、芳根と組んだ作品を作っていきたいとラブコールを送った。
芳根は号泣し、「これはお見せできないレベルで泣いてます。ちょっとやばい」と後ろを向いて顔を手であおいだあと、顔を向き直し「こんなに必要としていただけて…。本当に役者として、こんなにうれしいことはないなと」と言葉をかみしめた。
また「石川さんとお会いした時は、本当にこの仕事が自分に向いているのかどうかがわからなかった時期で、それでも石川さんはすごく優しく包み込んでくださったので、いまこうして立つことができます。石川さんは私の人生のかけがえのない存在です。こちらこそこれからもよろしくお願いします」と心から感謝した。
取材・文/山崎伸子