大竹しのぶ、明石家さんまは「昔から温かいもの、人を幸せにすることが好き」吉岡里帆と『漁港の肉子ちゃん』舞台挨拶に登壇

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大竹しのぶ、明石家さんまは「昔から温かいもの、人を幸せにすることが好き」吉岡里帆と『漁港の肉子ちゃん』舞台挨拶に登壇

西加奈子の小説を明石家さんまが企画プロデュースし、劇場アニメ映画化した『漁港の肉子ちゃん』(公開中)のトークイベントが7月7日に都内で開催され、声優を務めた大竹しのぶと吉岡里帆、渡辺歩監督が登壇。ドラマ「ごめん、愛してる」での共演以来、親交の深い大竹と吉岡が本作について語り合った。

『映画 えんとつ町のプペル』(20)のSTUDIO4℃がアニメーション制作を手掛け、漁港の船に住む訳あり母娘の肉子ちゃんとキクコのハートフルな物語が紡がれる本作。大竹は主人公の肉子ちゃんを、吉岡は若かりし頃の肉子ちゃんの親友のみう役を演じている。

主人公の肉子ちゃん役の声優を務めた大竹しのぶ
主人公の肉子ちゃん役の声優を務めた大竹しのぶ

冒頭で「本日はチケットを買って来て下さって本当にありがとうございます。今日はプロデューサーの人がいないので、きちんとゆっくりとお話ができると思います(笑)」と茶目っ気たっぷりに挨拶した大竹。最初に肉子ちゃん役のオファーがあった時のことを聞かれると「吉本興業の方から、プロデューサーのさんまさんが『ぜひ大竹さんじゃないと』と。『やります』って言ったら本人は全然そうは言っていなかったみたいで、吉本の人が私をだましたんですけど(笑)」と明かしつつ、「でも出られて本当によかったなと。原作とはまた違った肉子ちゃんの世界が広がっていて温かい感じで。“笑う”ってこんないまだからこそ優しい気持ちになれるし、本当に出られてよかったなと思いました」と心境を吐露。

いっぽうの吉岡もオファーがあった時のことに触れ「事務所の社長さんからメールがきて『さんまさんが出て欲しいと言ってらっしゃる』と。でも絶対ウソ!と思って(笑)」と回顧しながら「すごい緊張したんですけど、しのぶさんが肉子ちゃんを演じられるというのと、私の母が原作を好きで、私も読んだらこれは素敵な作品だと。参加させていただけるのは、とても光栄なことだなと思いました」と明かした。


若かりし頃の肉子ちゃんの親友のみう役の声優を務めた吉岡里帆
若かりし頃の肉子ちゃんの親友のみう役の声優を務めた吉岡里帆

アフレコにはプロデューサーの明石家さんまも立ち会っていたというが、現場でのエピソードを聞かれた吉岡が「すごいたっくさんお話して下さってて…」と当時を思いだそうとすると、大竹が「まったく印象が残らず…(笑)。一言も覚えていない…ただ喋ってたってことだけ覚えてる(笑)」とフォローを入れながら会場の笑いを誘い、大竹のアフレコ時には「(さんまさんが)どこかで笑いを入れたいという欲求がすごくて、アドリブの要求があったんですけど、絵がもうできあがっているから監督がすごく困っていたのを覚えています」とその舞台裏を明かした。

【写真を見る】終始、仲の良さを見せていた大竹しのぶと吉岡里帆
【写真を見る】終始、仲の良さを見せていた大竹しのぶと吉岡里帆

イベント中も抜群の仲の良さを見せる2人だが、アフレコは別々で行い、吉岡は大竹が演じた肉子ちゃんの声を聞きながらアフレコに臨んだという。「すごい安心感というか、しのぶさんが演じる肉子ちゃんには心がこもっていて、その感情がダイレクトに音を伝わってくる感じがあって、肉子ちゃんとして側にいてくれている感覚になりました」と話し、特に、みうが「愛の賛歌」を鼻歌で歌うシーンについては「私はしのぶさんのエディット・ピアフが大好きで、『愛の讃歌』を歌っているしのぶさんを劇場で観た時の感覚もずっと覚えていますし、まさか『漁港の肉子ちゃん』で、しのぶさんと同じように『愛の賛歌』を鼻歌で歌うなんて、こんな経験一生できないなと思いましたね。台本にまったく書いていなくて、いきなり言われたのですごくビックリはしたんですけど、ありがたいなと思いました」と印象的だったエピソードを明かした。

『漁港の肉子ちゃん』トークイベントの様子
『漁港の肉子ちゃん』トークイベントの様子

また、さんまがどうして本作を作ろうと思ったのか?とMCから質問が飛ぶと、大竹が「お金儲けですかねーとか言えないですよね(笑)」と冗談を飛ばしつつ、「昔から温かいものが好きで、多分ここに居たら隅っこの笑っていない人を見つけて、なんで笑っていないんだって言うような人。一瞬でも人を幸せにすることが昔から好きだから、そういうものを作りたいと思ったんだと思う」と語る場面も。

そんな本作について、改めて吉岡は「やっぱり肉子ちゃんとキクコちゃんの絆の話。自分が参加した仕事というより、客観的に母親の深い愛情をまざまざと映画から感じましたし、キクコちゃんの成長過程も素晴らしい。また絵がすごく綺麗で、うっとりして観ていました」と感想を語った。

本作を手掛けた渡辺歩監督
本作を手掛けた渡辺歩監督

終盤、2人に花束を持って登場した渡辺監督は「(2人の演技が)素晴らし過ぎて、いっそこのままアニメをやめて2人で舞台にしたらいいんじゃないかというくらいでした」とその演技をべた褒め。「お2人とお仕事をご一緒できたこと、心から幸せに思います。すばらしいお芝居をフィルムに焼きつけてくださった」と感謝の気持ちを伝える場面もあった。

最後には大竹が「他人同士でも優しさを持てれば、幸せな気持ちになれると信じさせてもらえる映画。そんな人との触れ合いを大事にしたいなと思ったら、よかったらお友達とかにすすめてください」と呼びかけ、吉岡も「私はやっぱり母親のことを思いだしながら観ていました。こうして育ててくれた人に感謝したいなと思いました」と語り、渡辺監督も「皆さんによって巣立っていってくれたらいいなという作品。たくさんのお金が動く作品は確かにすばらしいんですけど、この映画は人の心が動く映画に師匠(さんま)はしたかったんじゃないかなと思いました。温かく末長く見守って下さるとうれしいです」とコメントし、笑顔でイベントを締めくくった。

取材・文/富塚 沙羅


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