『東京リベンジャーズ』から「青天を衝け」まで。吉沢亮の熱を帯びたカリスマ性
満場一致で「マイキー役は吉沢亮!」
『東京リベンジャーズ』は、2017年から「週刊少年マガジン」で連載され、累計発行部数1000万部を突破した和久井健による超人気コミック「東京卍リベンジャーズ」の実写化。クセのある魅力的なキャラクターが多数登場するなか、とりわけ男女問わず高い人気を誇るキャラクターが、本作で吉沢が演じている超美形のカリスマヤンキー、マイキーだ。
キャスティングの際は、本作を手掛けた英勉監督をはじめとするスタッフ全員が「マイキー役は吉沢亮しかいない!」と満場一致でオファー。「吉沢さんにマイキーを断られたら、この企画は頓挫したかもしれない」と、原作ファンでもある岡田翔太プロデューサーが語るほど、マイキー=吉沢は実写化を成功させるうえで絶対条件の一つだった。
ヤクザも恐れる危険な組織“東京卍會(トーマン)”のトップに君臨し、北村匠海演じる主人公、タケミチの人生に大きな影響をもたらすことになるマイキーこと佐野万次郎。吉沢もまた原作ファンゆえに、マイキーを演じることに葛藤があったそうだが、美しい金髪に、くっきりとした力のある目が印象的な顔立ちは、原作のイメージにぴったり。
強い言葉で周囲を引っ張っていくリーダー像を体現
タケミチの危機を絶妙のタイミングで救うマイキーの初登場シーンから、もうハートをガシッとわしづかみにされる。甘いもの好きで、どら焼きをモグモグ食べながらの登場という意表を突くお茶目さといい、小柄で飄々として見えるのに、自分よりガタイの大きいキヨマサ(鈴木伸之)を一蹴りで倒してしまう強さといい、女はもちろん、男も惚れるかっこよさだ。
吉沢にとって、ヤンキー役は本作が初めての挑戦。しかも、本作はコロナ禍により、2度の撮影中断を余儀なくされたこともあって、撮影時期が「青天を衝け」とも重なっている。マイキーと渋沢栄一という重要な役を同時期に演じ分けていた吉沢の力量には驚かされるばかりだ。
大河ドラマの役作りで体を鍛えていたからか、映画のマイキーには、原作の華奢な雰囲気よりも、しっかりとした存在感がある。それがまた実写ならではの生っぽいリアリティを醸し出し、男の憧れを具現化したような無敵の男、マイキーのキャラクターに説得力を持たせている。「タケミっち~」とニコニコ笑いながら、ガラの悪い生徒たちをすごいスピードで殴り倒したり、カポエラのようなトリッキーな動きを織り交ぜ、ワイヤーを使って、空中で1回転してのハイキックを成功させたり、派手なアクションからも目が離せない。
山田裕貴演じる、マイキーが最も信頼する相棒、ドラケンとの強い絆も見どころ。強い言葉で周囲を引っ張っていくようなリーダーではなく、純粋にケンカが大好きで、かっこいい不良の時代を創っていきたい!というピュアな想いを胸に秘めたマイキーの姿にいろんな仲間が惹きつけられ、自然に慕われていく。その人物像は、どこか「青天を衝け」のひたむきな渋沢栄一にも通じる部分が感じられる。
原作コミックはいまも連載中で、実写映画版も続編がありそうな予感。歩みを止めることなく役者としての挑戦を続ける、吉沢亮の今後の活躍に期待せずにはいられない。
文/石塚圭子