日本最速レポート!庵野秀明、コミコンで世界配信前の『シン・エヴァ』編集作業を重ねていると明かす
2年連続オンラインで開催されているCOMIC-CON@HOMEのAmazonパネルに、庵野秀明監督が東京からリモート登壇した。庵野監督による最新作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(公開中)、そして『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(07)、『:破』(09)、『:Q』(12)を含む4作品が8月13日(アメリカ東海岸時間)よりAmazon Prime Videoで世界配信されるのを前に、世界中のファンに向けてオンライントークを行った。
日本では3月に劇場公開された『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が世界同時配信になることについて聞かれると、「本当は8年くらいで終わらせる予定だったのが、倍の時間がかかってしまってもう16年経ってしまいました。本当に終わったことでほっとしています」と述べた。世界中で観られるシリーズになった理由については、「作品自体のストーリーとドラマと技術的なクオリティを、常になるべく高い位置にあるように頑張って維持しています。それは僕ではなく、スタッフやキャストの努力のおかげなんです。それとは別に、エヴァンゲリオンという作品のなかに世界の人々に共通するなにかがあったんだと思います。それは感情なのかもしれないし、自分自身の物語として捉えるような仕組みだったかもしれないですね。世界中の人々がそれぞれ自分で感じているものだと思うので、一概にこれだというものはないんですが、自分にとって“これだ”というものが世界中の人に届いた結果なのかなと思っています」と分析する。
また、日本の独特なポップカルチャーの文脈にある作品が世界でも支持されたことについて、「エヴァンゲリオンに限らず、僕の作品は基本的には日本で育った人たち向けのドメスティックな内容でできています。そのドメスティックな作品が世界中の人々にこうして観られて愛されているというのは本当にありがたく、光栄だと思っています」と、COMIC-CON@HOMEを観ている世界中のファンに向けてメッセージを贈った。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、3月の日本での劇場公開から8月13日の世界配信の間にも幾度と編集作業を重ねていることが報じられている。そのことについて聞かれると、「作品作りというのは終わらないんですよ。ずっと時間さえあれば作り続けたいっていうのがスタッフの意思なので、時間がある限りクオリティを維持したい、クオリティを上げたい、クオリティを下げたくない。それを終わらせるのは時間切れという締切なんです。締切によって作業が終わっているだけで、締切の後にもう1回時間をもらえれば、スタッフはみんな喜んでさらにバージョンアップしたくなっちゃうんですね。
これは僕の意思というよりも、スタッフが自主的により良いものをお客さんに届けたい、その心からくる作業です。ドラマやストーリーに大きく関わる作業ではなく技術的なところなので、気がつく人はわかるかなっていう程度のものなんですけど」と説明していた。
足掛け16年、テレビシリーズから数えると26年もの長きにわたり関わってきたプロジェクトに終わりを告げる時が来た。その気持ちを「ホッとした」と表す庵野監督の次回作は実写映画だと言う。「気がついたら60歳になっていたんですね。今年61歳になったんで、61歳からはエヴァではなく新しい次の実写映画を何本か作っていこうと思っています。アニメーションは実写映画を数本撮って、その後にまたやれるチャンスがあればと思っています。まだなにも決まってないんですけど。実写映像の作り方はアニメーションと全く違うので、アニメーションではできないことを実写でいろいろ描いていけるので本当に楽しみにしています。実写でしか出来ないものをやりたいと思います」と語る。
すでに、庵野監督の実写作品として、仮面ライダー生誕50周年企画の『シン・仮面ライダー』の製作が発表されている。今作は2023年公開を目指して進行中だ。
文/平井 伊都子