【今週の☆☆☆】熱量に圧倒される!『イン・ザ・ハイツ』やドウェイン・ジョンソンの船長ぶりを楽しみたい『ジャングル・クルーズ』など、週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今週は、躍動感あふれる歌とダンスに圧倒される胸アツのミュージカル、ドウェイン・ジョンソンがジャングル・クルーズの船長に扮するスペクタクル・アドベンチャー、菅首相の素顔に迫る政治バラエティ映画の、クギヅケ必至の3本!
冒頭から一気にブチ上げてくる!…『イン・ザ・ハイツ』(公開中)
リン=マニュエル・ミランダによる、伝説的ブロードウェイ・ミュージカルの映画化。といっても、余程のミュージカル好きでもないかぎり、ピンと来ないかもしれない。とはいえ、『モアナと伝説の海』や公開待ち遠しい実写版『リトル・マーメイド』に楽曲提供するなど、近年はディズニーと組むなど、映画界でも注目の音楽家だけに、冒頭の表題曲から一気にブチ上げてくる!大通りや巨大プールでの撮影は、明らかにスタジオやCGとは違うリアルな臨場感を生み出し、NYの移民街“ワシントン・ハイツ”で展開される群像劇に没入。プエルトリコ系アメリカ人のアンソニー・ラモスなどのキャストや、移民問題や人種差別などを含むビターな社会的テーマなど、日本人にはちょっと馴染みのない部分も気にならないほど、終始熱量に圧倒される。ヒュー・ジャックマンやアリアナ・グランデがお世辞抜きで絶賛した理由も納得の仕上がりで、なかなか音楽フェスに行くことができない今年の夏、映画館で体感すべき1本だといえる。(映画評論家・くれい響)
ゾクゾク感と、秘宝探しの冒険に『パイレーツ・オブ・カリビアン』を重ねたくなる…『ジャングル・クルーズ』(公開中)
タイトルどおり、ディズニーランドの人気アトラクションから誕生した本作は、もちろん物語はオリジナル。しかしアトラクションの魅力そのものが再現されるシーン、小ネタも満載で楽しませてくれる。何より、ガイド役の船長を演じるドウェイン・ジョンソンが、軽妙トーク&だじゃれ連発で、「ジャングルクルーズ」そのものというのがうれしい。要所のアクションでは、そのドウェインがムキムキの肉体を武器に変え、迫力を加味。共演のエミリー・ブラントも「泳ぎが大の苦手」を笑いに変えつつ、ダイナミックな活躍をみせ、ドウェインと最強コンビ誕生といったムードを作り出す。アマゾンの野生動物や先住民族がストーリーにうまく絡んで登場し、主人公たちの敵となるキャラクターが恐ろしいビジュアルでスリルを増すのも効果的。ファミリームービーなのだが、要所でのこうしたゾクゾク感と、秘宝探しの冒険に『パイレーツ・オブ・カリビアン』を重ねたくなる。(映画ライター・斉藤博昭)
菅首相や政府の実態を、ブラックユーモアたっぷりに見つめる…『パンケーキを毒見する』(公開中)
ご存知、就任早々政治担当者を集めて開いた“パンケーキ懇親会”に掛け、菅首相自身や現政府の実態や真の姿を追い、日本の行く末を見つめたドキュメンタリー。『新聞記者』の河村光庸のプロデュース作品だけに、はなから<打倒!安倍・菅政権>的な危険性もあるかと思いきや、いやはや、どうして面白い。シニカルなブラックユーモアをちりばめつつ、見た目や口調などから我々が見くびっていた菅首相のスゴさも知らしめつつ、このまま行ったら危ない日本の未来に警鐘を鳴らす。菅政権の支持層が、意外にも10~20代の若者層ということに真剣に衝撃を受けてしまう!就任時“パンケーキ”と騒がれ、“可愛い”イメージが先行したゆえとは、つい噴き出したが、笑ってはいられない。そんな政治に興味が薄い若い層に向けても、アニメや時代劇などで外連味も効かせ、観る者を飽きさせない。終盤にいくにつれて、怖さが心をヒタヒタ侵食してくる。世の中を動かすには“選挙しかない”という事実をも、実感として改めて気づかせてくれる。日本が潰れる前に、全世代必見!(映画ライター・折田千鶴子)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!なお、緊急事態宣言下にある都道府県の劇場の一部では引き続き臨時休業を案内している。各劇場の状況を確認のうえ、足を運んでほしい。
構成/サンクレイオ翼