『ルーム』のアカデミー賞女優ブリー・ラーソン、『キングコング』に出演したワケとは?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『ルーム』のアカデミー賞女優ブリー・ラーソン、『キングコング』に出演したワケとは?

インタビュー

『ルーム』のアカデミー賞女優ブリー・ラーソン、『キングコング』に出演したワケとは?

『ルーム』(15)で第88回アカデミー賞主演女優賞を獲得し、実力派女優として一気にスターダムにのし上がったブリー・ラーソンが、『キングコング:髑髏島の巨神』(3月25日公開)に登場。大迫力のアクション・アドベンチャーの世界へと飛び込み、鮮やかな存在感を放っている。繊細な人間ドラマからアドベンチャー映画へとその振り幅にも驚くが、彼女が仕事選びで大事にしていることとは?キングコングの手の平に乗った感想までを聞いた。

未知生命体の存在を確認しようと髑髏島にやって来た調査隊。その島を破壊してしまったことで、島の守護神・キングコングを怒らせてしまった人間たちのサバイバル劇を描く本作。ブリーは、調査隊に参加する戦争カメラマンのメイソン・ウィーバーを演じている。

ブリーは役作りにおいて「実際に戦場カメラマンがどのような仕事をするのか調べていった」と述懐。「70年代に実在したカメラマンの方の文献を読んだり、今でも戦場に出向いているフォトジャーナリストの方とも会って話をしました。そうやって、この人がどういう人なのかをじっくりと作っていく作業をして。高校の時に写真の勉強をしていたので、カメラのいじり方はわかっていたんだけれど、カメラ使いに慣れるようにすることも大事だったわ」。

入念に時間をかけて役作りするタイプで、「次の作品に入るまでは長い時間をかけるようにしています。今までやっていたキャラクターを自分から切り離すには、時間がかかるの。時間をきちんととって、準備していくというのが私のやり方よ」と、とことんキャラクターを掘り下げて真摯に役に向き合っている。

「ウィーバーは真実を暴くために、恐れずどんなことでもやって名声を勝ち取ってきた女性」と言うように、70年代の強い女性として描かれるウィーバー。コングと出会ったことにより、自然界の神秘に触れることとなるが、“コングと美女”とのコンビといえば、これまでも映画史に名シーンを残してきているもの。しかし、これまでの美女とは違ったキャラクターとなっていると話す。「今までの女性と比べるとずっと行動的なキャラクターよ。救われるのではなく、みんなを救うようなキャラクター。でも今の時代に描かれるなら、それがいいと思ったわ」。

新たな“コングと美女”の名シーンとなりそうなのが、ウィーバーがコングの手の平に乗るシーンだ。「コングの手の平の上に乗るというのは、とっても素晴らしい感覚だったわ」と笑顔を見せつつ、「毎日10時間もどこかに登ったり、走ったりとものすごくハードな撮影だったの。5か月の撮影の間ずっと走り回って、やっと寝ていればいいシーンがあったというわけ(笑)」とお茶目に語る姿もとてもキュートだ。

小さな部屋からの脱出を描いた『ルーム』から、ジャングルでの戦いを描く本作へ。まったくタイプの違う作品に出演したが、作品選びではどのようなことを大事にしているのだろうか?すると「ロケーションで選んでいるわけではないわね」と楽しそうににっこり。「その物語の伏線がどのようなものなのかを見るようにしています。映画というのは、人が集まって、観た人たちが自分のことや人生について考えるものでもあるから」。

観客にそれぞれの人生を考えさせることができる。そういった映画づくりに情熱を燃やしている。「『ルーム』のような映画はいろいろなことを考えたり、感じさせたりする映画。でも『キングコング』も考えることのできる映画よ。映画と自分とのつながりを感じさせるようなものを、もっと大きな映画のなかで映し出せればと思ったの。本作はすごく楽しいし、エンタテインメントの醍醐味も味わってもらえるけれど、自分に問いかけることもできる映画。それって、私にとっては完璧な映画なのよ。私は本作を通して、人間はいつも物事を支配したがるものであり、そこに対する疑問も考えることができたわ。愛について考えられる映画でもあると思う」。

「『風と共に去りぬ』が大好きだったし、『羅生門』は私の人生観を変えてくれた」と自身も映画からパワーをもらい、女優への夢を育んできた。「以前、スイスで私の映画の上映会があって。とても小さな作品だったんだけれど、そこでものすごいスタンディングオベーションを浴びた経験があって。英語を話せる方が少なかったけれど、たくさんの人が私のところにやって来てハグをしてくれたの。その瞬間は報酬なんて頭に浮かばなかったし、メッセージを伝える大切さに感動して、鳥肌が立ったわ」。国や言語を超えてつながることができる映画の世界に、魅了されっぱなしのブリー。ぜひ彼女の新たな挑戦を目撃してほしい。【取材・文/成田おり枝】

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