『ジャングル・クルーズ』が北米初登場1位!A24の新作とマット・デイモン主演作もランクイン
『ブラック・ウィドウ』(公開中/ディズニープラス プレミアアクセスで配信中)の劇場同時配信をめぐり、スカーレット・ヨハンソンがディズニーへの訴訟を提起することが報じられ世界中の注目を集めた先週末。折しもそんなタイミングで北米興収ランキングを制したのは、『ブラック・ウィドウ』と同じようにディズニーが劇場同時配信に踏み切った『ジャングル・クルーズ』(公開中/ディズニープラス プレミアアクセスで配信中)であった。
ディズニーランドを代表する人気アトラクションを、来年公開予定のDC映画『Black Adam』でもコンビを組むジャウム・コレット=セラ監督とドウェイン・ジョンソンのタッグで映画化した『ジャングル・クルーズ』。約3年前に撮影が行われ、例によって幾度かの公開延期を経て公開された同作は、4310館で封切られ初日から3日間で興収3500万ドルを売り上げるスタート。これは2週前の『スペース・プレイヤーズ』(8月27日日本公開)を超えて、コロナ禍でのファミリー向け映画で最高のオープニング成績となる。
「Indiewire」の報道によれば、ディズニープラスのプレミアアクセスでの全世界収益は約3000万ドルと、『ブラック・ウィドウ』のそれと比較すればおよそ半分の数字。劇場と配信を合わせても製作費2億ドルの回収はかなり難儀なものとみられているが、ジョンソンがヨハンソンのように訴訟に踏み切る可能性は低いといわれている。またジョンソンのSNSによれば「今週末にディズニーと続編の打ち合わせをします」と、すでに『ジャングル・クルーズ』の続編企画が始動していることが明らかになっている。
ランキングに再び目を向けると、『ジャングル・クルーズ』以外にも2本の新作が上位にランクイン。3位に初登場を果たしたのは『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』(17)のデヴィッド・ロウリー監督の最新作で主演に『スラムドッグ$ミリオネア』(08)のデヴ・パテルを迎えたA24作品『The Green Knight』。批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、前評判通り批評家からはかなりの高評価を集めており、ロウリー作品らしく観客からの評価はいまひとつ。ジャンル色が強い作品のため、賞レースにどのような形で参入してくるのか注目が集まるところ。
また第88回アカデミー賞で作品賞を受賞した『スポットライト 世紀のスクープ』(15)のトム・マッカーシー監督がマット・デイモンと組んだ最新作『Stillwater』は5位スタート。こちらは批評家・観客ともに平凡な評価にとどまっており、賞レース入りは厳しそうな様相だ。新作3本がトップ5に入ったことで、前週上位に入った『オールド』(8月27日日本公開)と『ブラック・ウィドウ』はひとつずつ順位を落とすことになり、『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(10月22日日本公開)は2位から7位に急降下している。
文/久保田 和馬