実は名前を持たない…?悲しき怪物・フランケンシュタイン【妖怪大図鑑】
勇者に選ばれた少年と個性豊かな妖怪たちが巨大な“妖怪獣”に立ち向かう、大人から子どもまでドキドキしながら楽しめる、夏休みにぴったりの映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』が現在公開中だ。この連載「妖怪大図鑑」では、本編に登場する妖怪&人間たちを一挙に紹介。映画の予習にはもちろん、映画を観たあとに気になったキャラクターのトリビアまで丸わかり。ちょっとコワくて、どこか憎めない、お気に入りの妖怪を探してみよう!
『妖怪大戦争 ガーディアンズ』は、伝説の妖怪ハンターの血を引く気の弱い小学生、渡辺ケイ(寺田心)が廃校の神社で赤いおみくじを引いたことから始まる物語。フォッサマグナから現れた巨大な“妖怪獣”を倒すため、勇者を待ち望む妖怪たちの世界へ導かれていくケイが冒険のなかで出会うのは、見た目も個性も様々な妖怪たち。ケイと妖怪たちは妖怪獣に対抗するため、最終兵器“大魔神”を復活させることに。
第47回:悲しき怪物・フランケンシュタイン
今回紹介するフランケンシュタインは、1818年に出版されたメアリー・シェリーの小説「フランケンシュタイン」に登場する怪物。科学者を志す青年ヴィクター・フランケンシュタインによって生みだされ、人間の死体をつなぎ合わせて作られている。強靭な肉体だけでなく、人間の心や知性を持ち合わせるが、醜い容貌のため創造者から捨てられ、その後も人間から迫害を受けるなど、あまりに不遇な物語を辿り“悲しき怪物”といわれることも。また本来は名前を持たない怪物であったが、時代を追うごとに創造者であるヴィクターのラストネームから“フランケンシュタイン”と呼ばれるようになった。
本作では、日本の妖怪たちだけでなく世界中のモンスターたちも一堂に会した世界妖怪会議<ヤミット>のシーンに登場。これまで数多くの映画作品などで描かれてきたが、四角く大きな頭に縫合の跡が顔獣に見られるヴィジュアルは、ボリス・カーロフが演じたユニバーサル・ホラーの古典『フランケンシュタイン』(31)をきっかけに確立したもので、本作もそれを踏襲している。ドラキュラの隣に静かに座っており、セリフはないが貫禄は十分だ。
この<ヤミット>のシーンには、意外なモンスターや、ほかのシーンには登場しないユニークな妖怪も出現。『妖怪大戦争 ガーディアンズ』を観る時には、スクリーンの隅から隅まで目が離せない!
文/久保田 和馬