『夢判断、そして恐怖体験へ』青木涼と山岸芽生が語り合う“夢”「この世界は不思議に満ち満ちている」

インタビュー

『夢判断、そして恐怖体験へ』青木涼と山岸芽生が語り合う“夢”「この世界は不思議に満ち満ちている」

夢や心霊現象に隠された秘密を明らかにする映画『夢判断、そして恐怖体験へ』(8月27日公開)で、初主演&初ヒロインを果たした青木涼と山岸芽生。手にした役柄の重みを感じながらも、真摯に立ち向かい「あらゆる成長ができた」と充実感をみなぎらせる。お互いに刺激し合った撮影を穏やかな笑顔で振り返るとともに、いま抱く“夢”について語ってもらった。

「大きな役をいただき、“恐怖体験”を味わいました(苦笑)」(青木)

本作は、様々な心霊体験の実話をもとに、オムニバス形式で霊的世界を描くホラー映画。主人公となるのは、霊能力を用いて心霊現象の謎を分析する“リーディング”を行っている心理カウンセラー、神山圭治(青木)。たびたび金縛りに悩んでいた大学生の葵(山岸)は、その心霊現象の真相を探りたいと神山のアシスタントになることを申しでる。神山と過ごすうちに、葵は見えない世界の真実に目覚めていく…。本作は、L.A.インディーズ映画祭最優秀長編物語賞をはじめ、7か国で16冠を達成している。

心霊恐怖体験を描く『夢判断、そして恐怖体験へ』
心霊恐怖体験を描く『夢判断、そして恐怖体験へ』[c]2021 ARI Production

ーー青木さんは、本作で映画初主演を務められました。主演に決まった時の感想から教えてください。

青木「“夢”という、この作品が持つ世界共通で普遍的なテーマを皆さんにお届けできることをとてもうれしく思い、ワクワクしました。ところが脚本を読ませていただいたところ、演じる神山圭治という役柄が自分には到底届かないような人物に感じて、さっそく“恐怖体験”を味わいました(苦笑)。圭治は、心理学者として人々の声に寄り添い、悩みを解決していく男性なんですが、同時に霊的なものや見えない存在を探究していくという、二足のわらじを履いているような人です。なにか大きなものを乗り越えて、いま心理学者という仕事をしている男性だと感じましたので、この役は僕にできるのだろうか、僕でいいのかと、背筋が凍るような恐怖を感じました」

ーー覚悟を要する役柄だったのですね。

青木「そうです。本作はオムニバス形式でつづられる物語ですが、圭治はどのエピソードでも真相を読み解いていく“案内人”としての役割を担うことになりますので、常にリーダーシップをとっていくような役でもあります。自分にその役割を背負えるのか、覚悟を決めるまでにも少し時間を要しましたし、役作りはまるで修行期間のようでした」

青木涼は、心理カウンセラーの神山圭治役を演じた
青木涼は、心理カウンセラーの神山圭治役を演じた[c]2021 ARI Production

ーー山岸さんも、本作で初ヒロインを担うこととなりました。

山岸「オーディションを経て役をいただき、まずはびっくりしましたし、素直にとてもうれしかったです。オーディションを受ける際に脚本をいただいて、“上野葵という女の子はどういう子なんだろう?”と考えてみると、物語を通して心の成長を遂げる役なのかなという印象を受けました。それだとしたら、私自身も成長していかないと演じることができない役なのではないかと思い、“このままではいけないんだ”、“変わらないといけない”と感じました」

ーーお二人とも役柄の持つ重みを感じられたとのことですが、そういったプレッシャーを乗り越えるうえで助けとなったことはありますか?

青木「奥津(貴之)監督やプロデューサー、スタッフの方々と一体となって取り組みました。そのなかでもっとも役作りの支えになったのは、本作の主題歌『夢判断』の存在です。この楽曲を味わい、探究していくことが、同時に役作りにつながったと思っています。楽曲を解釈していくうちに、本作は夢や恐怖体験を描きながらも、“心という存在に気づいていく”というテーマがあることに気づきました。食べたいものがあればすぐに注文ができたり、いろいろな欲求がすぐに叶えられるような時代のなかで、心という目に見えない存在について考えることは、なかなか難しくもあります。しかし、目に見えない存在に寄り添わなければ、この作品やこの役に真実を生みだすことはできません。心について考え、改めて“人生のなかで大切なものとはなんだろう?”と考える時間こそが、自分のなかでこの作品の世界に入っていくうえでとても大切だったなと思っています」

見えない世界の真実にめざめていく女子大生・上野葵を山岸芽生が演じている
見えない世界の真実にめざめていく女子大生・上野葵を山岸芽生が演じている[c]2021 ARI Production


山岸「プレッシャーもありましたし、役作りや練習期間には、壁にぶつかってしまうこともありました。そのなかで、奥津監督から『そのままの山岸さんで演じてほしい』と声をかけていただいたことが、とても心に残っています。きっと監督は、山岸芽生と上野葵という2人に共通する部分を見出していらっしゃるんだなと感じたので、私なりに“ありのままの私とは?“、“私らしさとはなんだろう?”と考えて、ノートに書きだしてみたんです。すると、興味・関心を持ったものを知ろうとする熱意や、相手に対して積極的なエネルギーを放出する感じは、私と葵で似たものがあるなと思いました。迷った時には、監督の言葉を思いだして、“私らしく、私らしく”と自分に言い聞かせていました」

ーーでは、山岸さんにとって葵は、とてもご自身と近い存在だったのですね。

山岸「そうなんです。葵は21歳の大学4年生ですが、私も同い年です。将来に悩んだり、人生ってなんだろうと考えたりした経験が私にもありますので、そういった意味でも親近感が湧きました。ある意味、自分のこととして捉えられる役だったなと思っています」

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