三池崇史監督が明かす、神木隆之介と寺田心、2人の“天才子役”の共通点とは?
神木隆之介主演の平成版『妖怪大戦争』(05)に続き、スケールアップした寺田心主演の令和版『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(公開中)でメガホンをとった三池崇史監督。2作を演出した三池監督は、当時、天才子役という名を欲しいままにしていた神木と今作の寺田には、ある共通点を感じたと言う。三池監督に単独インタビューし、「ピュアな心を持った“妖怪”」と表現した寺田の魅力を軸に、その演出術について語ってもらった。
20XX年、列島を南北に縦断する断層、大地溝帯=フォッサマグナから現れた「妖怪獣」が猛威を振るうなか、妖怪たちはそれに対抗すべく、伝説の武神「大魔神」を復活させようとする。ところがそのためには、古代に妖怪ハンターであった渡辺綱(北村一輝)の血を継ぐ者の力が必要だった。やがてその末裔である渡辺ケイ(寺田)と弟のダイ(猪股怜生)は、妖怪獣との大戦争に巻き込まれていく。
「手加減するわけでもなく、変に守ってあげるわけでもなく、普通に接します」
神木は撮影当時11歳、寺田は12歳と、2人ともまだ小学生だったが、鳴り物入りの大作で堂々主演を張った。「隆(神木)の時もそうでしたが、心くんにも普通の役者として接しました。手加減するわけでもなく、変に守ってあげるわけでもない。そういう意味では、大沢たかおや石橋蓮司など、キャリアを積んできた役者とのやりとりとなにも変わらないです」と、三池監督は彼らを決して子ども扱いしなかったようだ。
「心くんを演出する際にも、大沢さんたちに言うのと同じような言葉を使いますが、すんなり通じます。でも、僕の年齢(60歳)だと、子ども時代のことなんて大昔すぎて覚えていないので、自分なんかが演出するよりも、心くん本人が腑に落ちる芝居のほうがやりやすいと思ったので、そんなに細かい演出はしませんでした。彼が台本をどう読みとり、どう表現していくのかが一番大切だし、現場で共演者から引き出されることも多いので」。
神木は2歳で、寺田は3歳で芸能界入りをしていて、すでにそのキャリアはベテランの域。彼らの共通点については「小さいころから現場でいろんな経験を積んできている点はもちろん、やはり感性が研ぎ澄まされていて、物事に対して敏感です」と感心する。
「例えばテスト撮影が終わったあと本番に行かず、僕が彼らのところに行くと、その時点で彼らはこっちがなにも言わなくても『すいません。わかってます』という感じになります。僕が彼らの芝居に満足してないことを瞬時に悟り、なおかつどこがダメだったのかもなんとなく理解している。そういう意味では、無駄な会話が必要なくて、顔を見ただけで通じあえるから、やっていて本当におもしろいです」。