北米興収は『キャンディマン』が首位デビュー!MCUにも抜擢の監督が成し遂げた快挙とは?
先週末(8月27日から29日)の北米興収ランキングで首位を飾ったのは、『ゲット・アウト』(17)のジョーダン・ピールが製作と脚本を務めた『キャンディマン』(10月15日日本公開)。例年はサマーシーズンを彩る大作の公開がひと段落する8月の最終週。今年はそれに新型コロナウイルスのデルタ株の蔓延が重なったことで興行的な伸び悩みが懸念されていたものの、同作は予測を上回る興収を記録。さらに作品の出来についても好評で、ピールの信頼度をさらに高める結果となった。
1992年に公開され、その後シリーズ化もされた同名ホラー映画を現代風にアレンジした『キャンディマン』。『アクアマン』(18)でブラックマンタを演じ、『The Matrix: Resurrections』の出演も控えるヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世を主演に迎え、とある街に伝わる都市伝説へと迫っていく。
3569館で公開され、初日から3日間の興行収入は2200万ドル。現時点ではまだ劇場のみの独占公開となっている効果もあるが、最近公開されたR指定のホラー映画と比較すれば、『ドント・ブリーズ2』(日本公開中)の倍以上のオープニング成績であり、『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』(10月1日日本公開)にも迫る高水準。さらに批評を集積するサイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家の84%から好意的評価を得るなど、「リメイク」「ホラー映画」というレッテルを見事に破る成功作に。
さらに注目すべきは、メガホンをとったニア・ダコスタ監督が成し遂げた快挙だ。「Deadline」の調べによれば、北米興収ランキングで黒人女性監督が手掛けた作品が初登場1位を飾るのは本作が初めてのこと。興行収入単位で比較すると、エヴァ・デュヴァーネイ監督の『リンクル・イン・タイム』(18)が記録した3312万ドルには届かないが、同作は初登場2位スタートとなっていた。ダコスタ監督は次作で『キャプテン・マーベル』(19)の続編『The Marvels』を手掛けることが決まっており、新記録を打ち立てることもほぼ確定的だ。
一方、2週連続で首位をキープしていたライアン・レイノルズ主演の『フリー・ガイ』(日本公開中)は2位に転落したものの、またしても前週比7割強の興収をキープし、30日の月曜日には北米累計興収8000万ドルを突破。また『ジャングル・クルーズ』(日本公開中/ディズニープラス プレミアアクセスにて配信中)は北米累計興収1億ドルの大台を突破した。
文/久保田 和馬