【今週の☆☆☆】木村&長澤主演の魅惑的なエンタメ『マスカレード・ナイト』、驚嘆せずにいられない変わり種ムービー『レミニセンス』など、週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今週は、木村拓哉と長澤まさみ共演による大ヒット作『マスカレード・ホテル』の続編、クリストファー・ノーランの弟ジョナサンが製作を務める、“記憶”を題材にしたSFサスペンス、ボスニア紛争下に起きた、戦後ヨーロッパ最悪の悲劇を一人の女性の視点で描く話題作の、最後まで予測不可能な3本!
ホテルマン・山岸の成長に加え、刑事ドラマとしての見ごたえも…『マスカレード・ナイト』(公開中)
2019年に公開され、大ヒットを記録した東野圭吾によるベストセラー小説の映画化『マスカレード・ホテル』。前作で見事に難事件を解決した異色タッグがスクリーンに帰ってきた!再び潜入捜査にのぞんだ警視庁捜査1課の刑事である新田は、コンシェルジェに抜擢された山岸とともに、ホテル・コルテシア東京で開催される仮面舞踏会に現れるという不可解な殺人事件の犯人を追うことに。またしても宿泊客のプライバシーを守りたいホテル側と素顔を暴きたい警察側がせめぎ合うなか、ホテルマンとしての神髄に近づいていく山岸の成長のドラマが爽やかな感動を与え、刻一刻と迫るタイムリミットにハラハラさせられる展開は刑事ドラマとしての見ごたえもバッチリ。ラグジュアリーホテルの重厚感やベネチアンマスクがミステリアスに彩る本作を、魅惑的なエンタテインメントへと格上げさせた木村拓哉による情熱的なアルゼンチンタンゴも必見だ!(ライター・足立美由紀)
思いがけないところまで連れて行ってくれる…『レミニセンス』(公開中)
『ダークナイト』『テネット』のクリストファー・ノーラン監督の弟にして天才クリエイターのジョナサン・ノーランが贈る…と、ややこしい触れ込みのSF大作だが、監督と脚本を手掛けたのはジョナサンの妻リサ・ジョイ。 夫婦の共同プロデュースで人気テレビシリーズ「ウエストワールド」を生み出した名コンビだ。
ヒュー・ジャックマン扮する「他人の記憶に入り込む潜入エージェント」が主人公だが、おそらくみなさんが思っているタイプの映画ではない。少なくともSF要素がメインではない。あえて言うなら昔ながらのハードボイルド・ミステリーだし、三角関係の甘々なラブストーリーでもある。それなのに突然激しいバイオレンスやガンアクションがブッ込まれたりするので、「今、何を観てるのか?」と振り回されること必至だ。
しかし、思いがけないところまで連れて行ってくれることは間違いない。むしろ予想と違うからこそ、リサ・ジョイのやりたい放題にとことん付き合ってみたいと思わせてくれる。よくもこんなマニアックな企画を壮大なスケールで実現させたものだと、驚嘆せずにいられない今年有数の変わり種ムービーである。(ライター・村山章)
残酷な史実の重さ、監督の平和への願いに心揺さぶられる…『アイダよ、何処へ?』(公開中)
惜しくも受賞は逃したものの、今年春のアカデミー賞で国際長編映画賞にノミネートされた実録ドラマがこれだ。ボスニア紛争末期の1995年7月、ボスニアのスレブレニツァという町で戦後ヨーロッパ最悪と言われる大量虐殺事件が起こった。その史実を今に伝える本作は、国連施設の通訳として働き、ひとりの母親でもある主人公アイダの視点でストーリーが進行していく。無数のボスニア人の避難民が殺到した国連施設の混乱ぶり。そこにひたひたと迫り来るセルビア人武装勢力の脅威。『サラエボの花』などで知られるヤスミラ・ジュバニッチ監督は、異様な緊迫感がみなぎる極限状況を生々しく映像化しながら、必死の思いで家族を救おうとするアイダの葛藤を描き出す。多くの日本人には知られていない残酷な史実の重さ、そしてジュバニッチ監督の平和への願いがこもったエピローグに心揺さぶられる一作だ。(映画ライター・高橋諭治)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!なお、緊急事態宣言下にある都道府県の劇場の一部では引き続き臨時休業を案内している。各劇場の状況を確認のうえ、足を運んでほしい。
構成/サンクレイオ翼