『レミニセンス』リサ・ジョイ監督と夫ジョナサン・ノーランが語る、夫婦での映画作りの秘訣
「大事なことは、美しくて優秀ですてきな人との結婚やパートナーシップを結ぶことです」(ジョナサン)
――CGよりもリアルな撮影を好まれる点はおふたりに共通していますが、例えば脚本もそれを想定し
て書かれるのでしょうか?
ジョナサン「そこは自分にとっての大きな挑戦で、脚本を書く時は、自分の人格が2つに分かれているような感じです。脚本家としての目線では、このシーンはどういうふうに撮影するんだろう、きっと難しいだろうと思いながら書いているけど、監督の立場でいえば、なんて難しいものを書きやがるんだ、これは無理だろうと思ったりします(笑)。でも、僕たちは映像作品を作るうえで、それが正しいやり方だと思っています。
特に『ウエストワールド』を作っていくなかで、才能にあふれたVFXのスタッフ陣にも恵まれているんだけれども、やはり現実に撮った映像よりは劣ってしまうんです。だから極力ロケに行くか、実際にセットを立て込むようにするし、それが叶わない場合は、別の方法を考えていく、というのが僕たちのやり方です」
――では、おふたりは本作の装置で、過去を再体験してみたいですか?
リサ・ジョイ「ジョナサンがどう思うのかはわからないけど、私は『メメント』のレッドカーペットで、彼と初めて会った瞬間に戻ってみたいです。私にとっては初めて参加した映画のプレミアでしたが、ジョナサンとは初対面だったので、少し怖さもありました。とてもチャーミングな人だという印象を受けつつも、果たして中身はどうなんだろうと思っていたんです。その後結婚し、いま2人の子どもがいて、すてきな人生を歩んでいます。だから、アニバーサリーの日に、2人でその瞬間を再体験できたら、最高なんじゃないかなと」
ジョナサン「僕もその日を一番に選びます(笑)。でもそれ以外でいえば、子どもが生まれたばかりのころにぜひ戻ってみたいです。僕たちには2人の子どもがいて、少しずつ成長していくなかで、いろいろな経験が重層的になってきています。子どもの写真はスマホに残っているけど、本当に小さかったころってどんなふうだったっけ?と、正確に思い出すが難しくて。特に(第1子の)娘が生まれたあとの数か月間は、一緒に過ごしていて特別な想いを感じていたので、純粋にその時の感覚をまた味わってみたいです」
――それでは、公私ともにパートナーを組むことのメリットも教えてください。
リサ・ジョイ「自分のパートナーを信頼することができるのは、本当にすばらしいことです。そもそも私は、彼の考え方や仕事ぶりも含めてジョナサンのファンであり、彼を愛していますから。
また、この業界で自分が女性であること、あるいは初めて長編映画の監督をすることはやっぱり大変なことで、プレッシャーも感じていますが、彼はそこも支えてくれます。作品のプロデューサーとしても、1人の友人としてもすてきだし、仕事で帰る時間が遅くなってしまった時は、子どもの面倒も見てくれたので本当に助かりました」
ジョナサン「やはり大事なことは、美しくて優秀ですてきな人との結婚やパートナーシップを結ぶことです」
取材・文/山崎伸子