ダニエル・クレイグ、突然脚光を浴び戸惑った自身を救ったのはヒュー・ジャックマンと明かす
コロナ禍で度々延期を余儀なくされてきたシリーズ第25弾『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(10月1日公開)が、全世界で公開決定。6代目ジェームズ・ボンドを演じるダニエル・クレイグの最後の作品となることから、10月7日までApple TVアプリにてドキュメンタリー番組「ジェームズ・ボンドとして」が無料配信されている。
5代目ボンドだったピアース・ブロスナンの突然の降板劇のあと、抜擢されたクレイグが当時受けたバッシングや、突然有名になった戸惑い、15年間にわたって『007 カジノ・ロワイヤル』(06)、『007 慰めの報酬』(08)、『007 スカイフォール』(12)、『007 スペクター』(15)、そして最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の5作品でボンドを演じ、同作でボンド役に終止符を打つ心境などが語られている。
クレイグはそれまでも大作には出演していたものの、当初あまり有名ではなかったうえに、犯人や悪役などのイメージが強かったこともあり、次期候補の予測時から「犯人面」「あばたのボンドなど見たくない」といった痛烈な批判を受けていた。ほか候補になっていたヒュー・ジャックマンなどを推す声も多いなかで、プロデューサーのバーバラ・ブロッコリからの強いオファーによりボンド役を受けたクレイグだが、結果的には『007 カジノ・ロワイヤル』が大ヒット。クレイグは一躍スターダムにのし上がった当時について、「突然有名になったことで、自分の人生に大きな変化がもたらされました。それに慣れるのに苦労して、精神的にも肉体的にも追い詰められてしまいました。カーテンを閉めて家に閉じこもり、自分の殻にも閉じこもって夢想の国のなかで暮らしていました」と語っているが、そんな状況から救ってくれたのが、2009年にブロードウェイの2人舞台「Steady Rain」で共演したジャックマンの「名声を受け入れ感謝する」というアドバイスだったという。
ジャックマンは、様々な理由からボンド役を断ったと言われているが、後のインタビューで、「ボンド役を受けたくない俳優なんていないのではないでしょうか。次にチャンスがあれば」と、未練ものぞかせていた。
ふたを開けてみれば、同シリーズの興行成績で金字塔を打ち立てたクレイグ。「これまでいろんな想いがありましたが、どんな瞬間も好きでした。でもこの最後の作品は、毎朝起きてみんなと仕事をするチャンスがあったことだけでも、特別な思い入れがあります。5作品とも多くの同じメンバーと一緒に撮影できたことは、自分の人生のなかの大きな誇りです」と万感の想いを語っている。
気になるのは7代目ジェームズ・ボンド役だが、性差別や人種問題など多様性が求められる時代の波を受け、次期ボンド役についてプロデューサーのブロッコリも多様性を示唆する一方で、クレイグも妻のレイチェル・ワイズも、「ボンド役は女性が演じるべきではない(より良い別の役が与えられるべき)」と語っている。
文/JUNKO