山寺宏一、デスラー役への愛着と疲労感を吐露!『宇宙戦艦ヤマト 2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-』舞台挨拶
1979年に放送されたテレビスペシャル『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』をモチーフに、全2章で描く完全新作の前章『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-』の上映記念舞台挨拶が、10月9日に新宿ピカデリーで開催され、豪華声優陣と安田賢司監督、シリーズ構成・脚本を担当した福井晴敏、製作総指揮・著作総監修の西崎彰司が登壇した。
本作で描かれるのは、白色彗星帝国との戦いから3年後の世界。銀河で勃発した領土紛争は、ガミラスと安全保障条約を結ぶ地球を否応なく巻き込んでゆく。本日登壇した声優陣は、アベルト・デスラー役の山寺宏一、スターシャ役の井上喜久子、新キャラクター土門竜介役の畠中祐、MCを務めた桐生美影役の中村繪里子の5名だ。
山寺は「デスラーを掘り下げて描いていただいたおかげで、いろんな年代を演じさせていただいてうれしく思ってます。ガミラスが大変なことになっていくと思われていると思いますが…」と言ったあとで口ごもり、「きっとみなさん、これから観られるので、先入観は持ちたくないですよね」と前置きし「大変です…。デスラーがこんな表情を見せるのか、こんな姿勢になるのかと」と言って、へとへとに疲弊しきったポーズを見せる。
山寺は「デスラーって発散して喋るほうじゃなく、内に込めるので、胸のなかでいろんなものがたまっていく。なので(アフレコのあと)、帰りはこうなっていたとお伝えしておきます。それくらいすばらしい映像と脚本です」と言うと、井上たちも「そうですよね」と大きくうなずいた。
井上は演じたスターシャの魅力について「見た目の美しさや儚さがありつつも、胸のなかですごく熱いものがある芯の強い女性。今作はさらに想いが強く、苦しみを背負い、孤独に戦うということで、私自身も『どうにかして頑張れ』という気持ちでやらせていただいてます」と役への想いを述べた。
続けて「デスラーさんに対して『アベルト』とファーストネームで呼ぶんです。なぜ、そう呼ぶのかは、後章に託されていますが、いろんなことが待ち受けている展開になっています」とコメント。
畠中は、新キャラクターの土門竜介について「ひと言で言えば、すごく真っ直ぐで不器用、繊細なところもあるので、ものすごく心が揺れる瞬間が多く、そこをどう演じるかが難しかったです。彼が一体なにに怒っているのか、どういう目的でヤマトに乗り込んでいくのか、映画を観ないと語れない。ちょっと難しいやつかも、と思うかもしれないけど、ある種、素直なので受け入れてもらいたい」とアピール。
山寺は「土門は原作とはだいぶ違いますよね。僕は、年下の後輩を呼び捨てで呼ぶようなことはあまりしないけど、畠中くんは2回目に会った時に『祐(たすく)』と呼んでいた。愛されキャラです。でも、土門は祐とは真逆。いつもニコニコしてるし。『さくら』を歌いそう」と言うと、畠中は「確かに僕、森山直太朗さんに似てるとよく言われます」と言って会場の笑いを誘った。
また、これまで数多くの「ヤマト」シリーズを手掛けてきた西崎は本作について「いままでの作品のなかで一番気に入ってます。安田さんと福井さんがタッグを組んだことで力強い作品になりました。安田監督ならではの映像美については、『ヤマト』として経験がないような新鮮な表現をしていただいた」と賛辞を送ると、福井も「『ヤマト2022~』とは全然違う雰囲気が出ていると思います」と手応えを口にした。
最後に安田監督は「『ヤマト』という大きなタイトルを預かるにあたり心がけたことは、みなさんが大事にしているヤマトの世界観を崩さず、いかにして楽しんでいただけるかということです。そこは注意してやっていきました」と「ヤマト」へのリスペクトを込めたと語った。
取材・文/山崎伸子