小野花梨と見上愛、同世代女優が『プリテンダーズ』で演じた等身大の役を語り合う「全部が私そのものの感情でした」
「渋谷のスクランブル交差点でのゲリラ撮影は、いま思えばむしろ楽でした」(見上)
――渋谷のスクランブル交差点で、花梨が感情を爆発させて叫ぶシーンはゲリラ撮影だったそうですね。
小野「あれはしんどかったです(苦笑)。普通に渋谷を歩いている人たちのなかに、2人でポーンと放り込まれました。照明さんや音声さんもいないし、手持ちカメラを持ったカメラマンさんがバレないように遠くで私たちを撮っているだけ。周りから見れば、ちょっとおかしい女の子2人が急に大声で叫び、泣き始めたという感じです。だから周りの反応はめちゃくちゃリアルなものです」
見上「私は状況に素直に反応していれば良かったので、いま思えば楽でした。本当にその場にいるのが辛かったから、なに演技しなくて良かったという意味で」
小野「私はしっかりと守られている環境での撮影しかやってこなかったので、逆にゲリラ撮影は芝居のストレスに思えてしまいました。でも、ああいう経験をすることはもう二度とないと思うから、いまとなっては贅沢な体験だったなと思います」
――ほかにもここは大変だったなと思うシーンはありますか?
小野「私は村上虹郎さんとのバーでのシーンが大変でした。虹郎さんはすばらしくすてきに演じてくださいましたが」
――花梨がののしられたり、乱暴されたりするシーンは、見ていて痛々しかったです。
見上「ちょうどコロナ禍で止まっていた撮影が再開したばかりのシーンで、その中断時間も含め、長い時間を花梨ちゃんと共有してきた感覚があったから、そばで見ている風子的にもかなり辛いシーンでした。ある意味、スクランブル交差点のシーン以上に、きつかったです」
小野「確かに」
見上「コロナでの撮影中断に、風子としての気持ちが途切れちゃうかなと思っていましたが、そんなことはなくて。たぶん幼なじみの関係ってこういう感じなのかなと。しばらく会ってなくても通じあえている感じでした」