アレック・ボールドウィン、誤射による撮影監督の死を受け役者休業も視野か
現地時間21日、アレック・ボールドウィンが主演と製作を務める新作西部劇の『Rust』の撮影現場である、ニューメキシコ・サンタフェ近郊にあるボナンザ・クリーク牧場で、ボールドウィンが練習のため、空砲だと認識していたプロップガン(撮影用小道具銃)を発砲。これにより、撮影監督と監督が死傷した事件で、新たな事実が明らかになった。
現場にいて負傷したジョエル・ソウザ監督が、サンタフェ郡保安官事務所の警察に明らかにしたところによると、「教会の椅子に座ったアレックが、クロスドローの練習のために、カメラに向かって空砲と言って渡されたプロップガンを発砲。しかし実際には空砲ではなかったようで、ソウザ監督の前に立っていた撮影監督のハリナ・ハッチンスが腹部を押さえながらよろめき、脚の感覚がないと言って地面に倒れ込んだ」という。救急ヘリでニューメキシコの病院に搬送されたが、胸部を撃たれたことで、その後死亡が確認された。また肩を負傷したソウザ監督も病院に搬送されたが、命に別状はなかった。
ボールドウィンに空砲だと言ってプロップガンを渡した助監督のデイヴ・ホールは、『マトリックス リローデッド』(03)などでも活躍しているベテランで、「空砲だと言われていた」と主張。この状況について「TMZ」は、同作に関わった複数の関係者の話として、「セット以外でもクルーが射撃訓練に使えるもので、警察官が現場検証を行った際に、複数の実弾が保管されていた」と証言していると伝えている。
また、ソウザ監督らにより「撮影現場には食事をとる施設がないため、朝昼夜と食事のためにシャトルバスで現地を離れる状況にあり、今回はランチから戻ってから起きた出来事」であること、「助監督が、3つの銃のうちの1つをアレックに渡した」ことなども明らかになり、混沌とした現場で、空包と実弾が入った銃が入り混じっていた可能性も指摘されている。
そのうえで、ハリウッドのベテラン兵器係であるテイル・リードの娘で、過去にも11歳の子役俳優に確認なしで銃を渡したことが明らかになった、まだ経験の浅いハンナ・グティエレス・リードが兵器係を務めていたことも判明。
さらに「Indie Wire」などによれば、国際映画劇場労働組合の中のローカル支部Local 44が、所属会員宛てに「主演俳優が実弾入りの銃を誤射し、撮影監督が死亡、監督が負傷した」また「同作のニューメキシコでの撮影で、小道具とセット装飾、特殊効果班のスタッフは全員現地調達されており、我々の組合員は関わっていない」という内容のメールをしており、今回の痛ましい出来事はいくつもの要因が重なって起きた悲劇ともいえる。
誤射したボールドウィンは殺人罪などには問われておらず、また逮捕もされていない。兵器係や助監督の責任が問われるのかは明らかになっていないが、人選など様々な観点から、ボールドウィンがプロデューサーとしての責任を問われる可能性も指摘されている。
現在は3Dコンピューターもあり、かねてから本物の銃を使用することを禁じる動きがある一方で、リアリティを求める目的や、政治と癒着する全米ライフル協会との関係などからいまだに本物の銃を使用するケースも多い。しかし、今回の痛ましい事件を受けて、本物の銃を使用することを禁じる動きが加速しそうだ。
また立ち直れないほどショックを受け、打ちひしがれているというボールドウィンはSNSを更新し心境を吐露。亡くなった撮影監督の夫や子どもと朝食を取りハグする様子なども捉えられており、誠意を尽くしているが、同作の撮影はもちろんのこと、役者を休業するのではないかと「Insider」などが伝えている。
文/JUNKO