イザベル・ユペール×濱口竜介の豪華対談で幕開け!東京国際映画祭で「アジア交流ラウンジ」が今年も開催
今年も幕を開けた第34回東京国際映画祭(TIFF)。その開催2日目となる31日、昨年に引き続き実施される「国際交流基金アジアセンター×東京国際映画祭 co-present トークシリーズ@アジア交流ラウンジ」がスタート。今年のコンペティション部門で審査委員長を務めるイザベル・ユペールと、『ドライブ・マイ・カー』(公開中)で第74回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した濱口竜介が登壇し、国際映画祭らしい華々しい幕開けを迎えた。
昨年スタートしたこの「トークシリーズ@アジア交流ラウンジ」は、是枝裕和監督を中心とする検討会議メンバーの企画のもと、アジアを中心とした世界各国・地域を代表する映画人と、日本の第一線で活躍する映画人がトークを繰り広げるというもの。昨年は橋本愛と『はちどり』(18)のキム・ボラ監督や、是枝監督と『台北暮色』(17)のホアン・シー監督など、豪華な組み合わせによるオンライン対談が実現した。
いまなおコロナ禍の影響が残っているため、今年も海外映画人のほとんどがオンラインでの参加となるなか、コンペティション部門の審査のために来日を果たしたユペール。「濱口監督の作品はほとんど全部観ております。私にとって濱口監督の作品を観ることは、新しく強力な映画言語を発見することでもあります」と、濱口監督の手腕を絶賛する言葉をかけると、濱口監督も「脳がとろけるような気持ちであります」とかしこまった様子で喜びを述懐。そして濱口自らユペールの演技への思想や、彼女がこれまでタッグを組んできた名だたる巨匠たちとのエピソードを積極的に質問していく。
一方でユペールからも「『ハッピーアワー』の4人の女優さんは全員アマチュアで、それまで演技をしたことがなかったとどこかで読んだのですが、それは本当でしょうか?」と濱口の代表作について質問。「本当です」と答えた濱口に対し、「すごいことだと思います。あの女優たちが示している一種のイノセンスは、プロの俳優が取り戻したいといつも夢見ているもの。“アマチュア”という言葉には“エメ”、すなわち“愛する”という言葉が入っています。アマチュアこそ、愛することができるものだと思います」と語るユペール。世界の映画史にその名を刻む大女優からの賞賛の言葉に、日本を代表する映画作家に成長を遂げた濱口も恐縮しっぱなしであった。
「トークシリーズ@アジア交流ラウンジ」は、このあと11月7日(日)まで毎日開催されていく。11月1日(月)の14時からは是枝裕和監督と『DUNE/デューン 砂の惑星』(公開中)に出演したチャン・チェンのオンライン対談、11月2日(火)14時からは『由宇子の天秤』(20)の春本雄二郎監督らが登壇する特別セッション、11月3日(水・祝)14時からは『あのこは貴族』(20)の岨手由貴子監督とインドネシアのカミラ・アンディニ監督の対談が。
11月4日(木)14時からは今年の映画祭アンバサダーを務める橋本愛と、コンペティション部門に新作『四つの壁』が選出されたバフマン・ゴバディ監督。11月5日(金)14時からは永瀬正敏とフィリピンのブリランテ・メンドーサ監督、11月6日(土)11時10分からは西島秀俊とアピチャッポン・ウィーラセタクン監督。11月7日(土)14時からはポン・ジュノ監督と細田守監督が、それぞれオンラインで対談を行なう。
各イベントのオンライン視聴は東京国際映画祭公式ウェブサイトで現在受付中。第34回東京国際映画祭は11月8日(月)まで開催される。
取材・文/久保田 和馬