北米興収は『エターナルズ』が圧勝で首位発進!クリステン・スチュワートがダイアナ妃を演じた『Spencer』も初登場
先週末(11月5日から7日)の北米興収ランキングは、『ノマドランド』(20)で第93回アカデミー賞監督賞に輝いたクロエ・ジャオ監督がメガホンをとったマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『エターナルズ』(日本公開中)が初登場No.1を獲得。前週まで首位をキープしていた『DUNE/デューン 砂の惑星』(日本公開中)に圧倒的な大差をつけ、MCUの貫禄を見せつけた。
4090館で公開された『エターナルズ』の3日間の興行収入は7129万ドル。これは9月に公開されたMCUの前作『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(ディズニープラスで配信中)のオープニング興収7538万ドルをわずかに下回るものの、コロナ禍で公開された作品では第4位の好成績。トップの『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(12月3日日本公開)も含め、上位4タイトルはすべてマーベル作品ということになる。
ちなみに1館あたりのアベレージで比較してみると、4300館公開だった『シャン・チー』との差はわずか100ドル。超強力なブロックバスター作品の公開ラッシュがひと段落したこのタイミングなら、北米興収だけで製作費の2億ドルに近い興収を見込めそうではあるものの、観客の反応は賛否真っ二つとの報道も。「Cinemascore」の調査によれば、観客からの評価はMCU作品で最も低い結果になっているとのこと。その評判が今後の興収にどう影響するのだろうか。
8位には、クリステン・スチュワートがダイアナ妃を演じる『Spencer』が初登場。『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』(16)のパブロ・ラライン監督がメガホンをとった同作は、966館で210万ドルとまずまずの出足。批評集積サイト「Rotten Tomatoes」によれば批評家の83%から好意的な評価を獲得しており、目も当てられない低評価に終わったナオミ・ワッツ主演の『ダイアナ』(13)とは雲泥の差であることがわかる。
高評価の多くはやはりスチュワートの演技に集中しており、ヴェネチア国際映画祭でのお披露目以降高まりを見せていたオスカー主演女優賞レースへの期待の声はさらに大きくなっている。とりわけ主演女優賞レースは、一時主役候補と目されていた『リスペクト』(日本公開中)のジェニファー・ハドソンが作品の興行的失敗で失速するなどかなりの激戦ムード。スチュワートがこのまま年明けまで勢いを維持できるのか注目だ。
ランキング上位作品では、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』が先週末時点で累計興収1億9700万ドルに到達し、コロナ禍として2作品目の2億ドル到達が目前に。劇場数を1205館まで増やしたウェス・アンダーソン監督の『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2022年1月28日日本公開)は6位にランクアップした。
文/久保田 和馬