佐藤寛太『軍艦少年』舞台挨拶で劇団EXILEメンバーへのメッセージ「記事で圧をかけて!」
映画『軍艦少年』の公開記念舞台挨拶が12月11日、ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催され、佐藤寛太、加藤雅也、山口まゆ、濱田龍臣、赤井英和、大塚寧々、Yuki Saito監督ら“軍艦少年ファミリー”が登壇。満席の会場に感謝を伝えながらの温かい舞台挨拶となった。
本作は、ヤンキー漫画のカリスマとして人気を誇る「ギャングキング」「セブン☆スター」の柳内大樹による渾身の青春漫画「軍艦少年」の実写化。長崎県の軍艦島が見える街で暮らす親子の喪失と再生を描く物語だ。満席の会場を見渡し、満足の表情を浮かべるキャスト陣&監督。主人公、海星役の佐藤は「何が起きるかわからない世の中」と前置きし、「軍艦島での撮影許可を取るのに2年、構想から撮影まで4、5年かかっている作品です。まずは初日を迎えることができてホッと一安心しています」と笑顔を浮かべつつ、映画公開までたどりついたよろこびを伝え、さらに監督への労いの言葉をかけた。
佐藤は、まだ劇団EXILEのメンバーが本作を観ていないとちょっぴり不満の様子。取材に駆けつけたマスコミに対し「ぜひ、記事にしていただき、メンバーに(観るよう)圧をかけてください!」と呼びかける場面も。舞台挨拶中、何度かメンバーへの「鑑賞のお願い」を言葉にし、笑いを誘っていた。海星の同級生、結役の山口は「佐藤さんの熱量についていけば、この映画は成功すると思いました」とコメント。さらに純也役の濱田は初顔合わせを振り返り、「衣装合わせで初めて会ったのですが、その時に食事に誘ってもらって、いろいろと話をしたことが純という役の手がかりが見つかったきっかけでした。本当に感謝しています。素敵な座長でした」と明かし、佐藤の「主演としての現場での様子」について絶賛すると「なんだかむずがゆいです」と照れまくる佐藤に、会場から大きな拍手が送られた。
海星の父親、玄海役の加藤とその幼なじみの野母崎巌役の赤井は30年ぶりの共演だったとし、赤井は「30年ぶりの共演が幼なじみ感を出すのにちょうどよかった」とニッコリ。加藤は赤井との殴り合いのシーンを振り返り「いつも飲んでいると話しているのに、シラフの役がすごく上手だった」とニヤニヤ。すると赤井は「加藤さんは“ほんまに飲んでるんちゃうか?”と思うくらい、酔っ払った演技が巧くてびっくりするほど。でも、実はお酒が飲めないと聞いて2度びっくりしました」と撮影裏話を明かしていた。
海星の母、小百合役を演じた大塚は撮影中、佐藤にいたずらを仕掛けたことを告白。「劇中で、寛太くんが笑うシーンがあるのですが、実は私のいたずらに笑っているので、“素”が出ています。注目してください」と茶目っ気たっぷりに語った。
監督は佐藤と加藤、親子の取っ組み合いシーンの撮影が印象に残っているとし、「ずっとすれ違っている親子がやっと相容れる場面。寛太くんの熱量と、それを受け止める雅也さん、本当に殴り合うんじゃないかというくらい熱量を感じました。2人の演技に圧倒されて、その場でワンカットでの撮影に切り替えました。出来上がりの映像を見て、その決断は間違ってなかったと実感しました」と胸を張ると、加藤は「元気だったころの父親、酒に溺れてダメになっているころの父親。同じぶつかっていくのでも、相手の状況によって芝居の温度に差がありました。弱っている相手にはここまでやってはいけない、という”人間性”がよく出ていて“すごい芝居をする”と感じました。愛情のある戦い方に感動しました」と佐藤の演技を褒めると、佐藤は笑顔を浮かべながら恐縮した様子だった。
舞台挨拶では12月13日に京都の清水寺で発表となる「今年の漢字」にちなみ、映画に込めた熱いメッセージを全員から「漢字一文字」で発表する場面も。それぞれが発表した漢字にもどこか繋がりがあり、“軍艦少年チーム”の絆の強さを感じさせた。最後の挨拶で佐藤は「並々ならぬエネルギーが詰まっている作品です。軍艦島の景色、そして人間模様を堪能してください」と力強くアピールし、舞台挨拶を締めくくった。
取材・文/タナカシノブ