『ブレードランナー』続編と『メッセージ』の共通点、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が明かす
第89回アカデミー賞で8部門のノミネートを果たしたSF映画『メッセージ』(5月19日公開)のトークショーが4月13日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とタレントの関根麻里が登壇。『ブレードランナー』の続編『ブレードランナー 2049』(10月27日公開)も手がけるヴィルヌーヴ監督が、『メッセージ』と『ブレードランナー 2049』の共通点を明かした。
本作は、巨大な宇宙船の襲来と地球外生命体とのコンタクトというSFの王道的な設定と、ヒロインの人生の物語とを繊細に絡ませたSFドラマ。200人の映画監督の卵たちが集ったこの日。『ブレードランナー 2049』に続き、『デューン 砂の惑星』の続編の監督にも抜擢されたヴィルヌーヴ監督が登場し、学生たちの質問に答えた。
話題の監督とあって、学生たちからもたくさんの手があがった。映画監督を目指す学生から「準備をする時に追い詰められることがある。大きな作品を撮る時にそうなることは?」と聞かれると、ヴィルヌーヴ監督は「僕は撮影をしている時にパニックに襲われることがある。不安と戦いながら現場にいることが多い」と正直な思いを吐露。
次々と大作を手がける監督でも壁にぶち当たる時があるとのことで、大きくうなずく学生も。ヴィルヌーヴ監督は「すぐに答えが見つからない状態も、それをうまく自分の味方にしてしまうことを学んだ。すると、それがすごくパワフルなものに変わる。その時間を居心地のいいものに変えてしまえば、そこから素晴らしいものが生まれてくる」。さらに「僕は準備がすごく好きなんだ。作品のことを夢想できるからね。準備を好きになるといいよ」と真摯にアドバイスを送っていた。
『ブレードランナー 2049』は、現在「編集がそろそろ終わる段階。SFXも膨大だけれど、その作業も終わりそう。今、音を付けています」とのこと。それ以上「何もお話できない」と苦笑いを見せながらも、「僕にとってこれまでで一番の野心作で、一番難しい作品になった。早くお届けしたい」と胸を張ったヴィルヌーヴ監督。
「『メッセージ』も『ブレードランナー 2049』に共通するのは、ほとんどグリーンバッグを使っていないこと。なるべくカメラの前で物理的にセットを組み、役者にも実際の環境に触れてもらいながら、演技をしてもらった。超大作をそのように撮れたことは、夢が叶ったような思い」としみじみと語っていた。【取材・文/成田おり枝】