緒方恵美が明かす、“乙骨憂太”を掴むまでの苦悩「こんなに迷い考えたのは本当に久しぶり」
『呪術廻戦』の原点であり、“愛と呪いの物語”を描いた『劇場版 呪術廻戦 0』が公開中。テレビアニメ「呪術廻戦」の前日譚が描かれる本作で緒方恵美が、映画化が発表されて以来、「誰が演じるのか?」と常に注目を集めていたキャラクター、主人公の乙骨憂太役を演じている。アフレコを振り返り「新しい扉を開かせてもらった」と語る緒方のキャラクターへのアプローチ、作品への向き合い方を紐解く。
「頭では理解できても素地がなかなか見えなかった」
乙骨を演じるのは本当に大変だったとしみじみ語る緒方。「乙骨という人を理解するのが大変でした。どうやって演じればいいのかと、こんなに迷い考えたのは本当に久しぶりでした」と振り返る。「役を理解し、そのキャラクターとしてマイク前に立つことができたら、あとはすべてそのままお芝居になると思っています。でも、そのキャラクターが理解できなければ身動きも取れない状態になってしまいます。さらに、作品では乙骨が呪われたところから描かれていて、呪われていない素の彼がどういう人なのかが描かれていません。でも、そこから出会いや戦いを通して成長し変わっていき、最後は夏油 傑(声:櫻井孝宏)に女誑しと言われてしまうような言葉を“素”で話せる人になっている。そんな言葉が出てくる人はそうそういるわけではないので、かなり考えました」と乙骨のキャラクターを説明する。
「女誑しな言い方はできるけれど、乙骨はそれだけではない。夏油にそう言われてしまうほどの素地があったはずなんです。でもそれがどこにあるのかよくわからなくて。全部をつなぐ線のストライクゾーンがとても狭いので、どうしたら、どういう考え方を持っていたら、夏油にかけられた言葉に対して、あのセリフが出るのか。それを考えるのが役者の仕事と頭では理解していたけれど、どうしても乙骨の素地が見えなかったので、監督や音響監督、スタッフの皆さんといろいろな話をしました」と乙骨というキャラクターを演じる難しさを明かす。
アフレコ前の打ち合わせを経て「1人で考えている時よりも乙骨へのアプローチがだいぶ楽になりました。アフレコするなかで探り、乙骨像の答えを見つけていった感じです」と語った。
声優発表前から注目を浴びていた乙骨の人気について「原作はもちろん、テレビシリーズをやってきた役者の皆さん、スタッフのチームの積み上げでここまでの人気を得た作品です。私はあとから登場するキャラクターでその流れに入れていただいたようなものだから、わりと冷静に見ていました」としながらも、「ファンのみなさんが盛り上がれば盛り上がるほど、“私で大丈夫かな”という気持ちはあります。やるべきことはやったのですが、過熱ぶりを目の当たりにすると、みなさんに楽しんでもらえるかなと心配になる部分はあります」と本音を明かした。