『ゴーストバスターズ』を父から受け継いだジェイソン・ライトマンが明かす、シリーズ愛と“次世代”への期待「まだまだ語るべき物語がある」
「僕らが望んでいたことは、完全にノスタルジックな体験をしてもらうこと。つまり、観客が1作目を観た時の感覚に戻ることができる作品を作りあげることでした」。1作目が公開された当時まだ6歳だったジェイソンは、父の撮影現場を体験した幼少期を楽しそうに振り返る。「夜明けに父と一緒に目を覚まし、現場のトラックから照明機材が下されたり撮影カメラが設置されたりするところを眺めながら、父からいろいろな話を聞いたのをよく覚えています。まだ世界中で誰もテラードッグやプロトンパックを知らない時に、僕はマシュマロマンの爆発でシェービングクリームを浴びせられるスタントマンを見ていました。その時のマシュマロマンのかけらを、高校時代までずっと棚に飾っていました(笑)」。
「ゴーストバスターズ」の正統な継承者として、そしてシリーズが生まれる瞬間を最前列で見届けてきたひとりのファンとして、改めてこの作品に向き合うことになったジェイソン。30年以上の間で急速に映画技術が進歩を遂げて、娯楽映画の作り方もガラリと変わったなか、あえて1980年代のルックやCG技術、ゴーストやクリーチャーのデザインなど、父が1984年当時にやっていた技術を取り入れることにしたという。「この映画に携わるには、まず『ゴーストバスターズ』のファンでなければならない。それはまさに、ライトマン家に代々伝わる古いレシピのようなものでした」。
もちろんゴーストバスターズに欠かすことのできないプロトンパックや、ECTO-1に至るまでオリジナルに登場したアイテムを次々と再現。さらに「前作でイゴン博士はおもちゃをもらったことがあるか尋ねられた時に『スリンキーの半分を持っていたけれど、真っ直ぐにした』と答えるシーンがありました。その台詞が大好きだったので、とあるシーンに真っ直ぐなスリンキーを入れておきました」と、茶目っ気あふれるオマージュもささげているとか。
第1作の大ヒットを受けて続編が製作されたあと、20年近く経ってからさらなる続編の企画が始動したこともあった「ゴーストバスターズ」。しかし度重なる製作延期の末にライミスが亡くなり、結果的にリブート版が製作されることに。今回、多くのファンが長年待ち望んだ正統続編とあって、すでに本作は全世界興収2億ドルに迫る大ヒットを記録している。
そうなると気になるのは、この“次世代のゴーストバスターズ”の物語のシリーズ化だ。「続編を製作できたらいいなと願っています」とジェイソン。「まだまだ『ゴーストバスターズ』の世界には語るべき物語があります」と、父から受け継いだ世界をさらに拡張し、また新たな世代へと受け継いでいく強い意志をあらわにした。
構成・文/久保田 和馬