カンヌ、ヴェネチアに続き第72回ベルリン国際映画祭の栄冠も女性監督に!日本からは「分福」所属の新人監督が受賞

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カンヌ、ヴェネチアに続き第72回ベルリン国際映画祭の栄冠も女性監督に!日本からは「分福」所属の新人監督が受賞

現地時間2月10日から20日までドイツで開催されていた第72回ベルリン国際映画祭が閉幕、受賞作品が発表された。今年の審査委員長はM.ナイト・シャマラン監督、審査員には昨年『偶然と想像』(公開中)で審査員大賞である銀熊賞を受賞した濱口竜介監督が参加していた。

第72回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した、スペインの女性監督カルラ・シモン監督作『Alcarras』
第72回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した、スペインの女性監督カルラ・シモン監督作『Alcarras』画像はBerlinale(@berlinale)公式Instagramのスクリーンショット

金熊賞には、スペインの女性監督カルラ・シモン監督の『Alcarras』が選ばれた。カタルーニャ地方の農民を描いた作品で、プロフェッショナルの俳優ではない出演者の演技が賞賛を受けている。シモン監督の前作『悲しみに、こんにちは』(17)は、第67回ベルリン国際映画祭にて上映され、新人監督賞とジェネレーション部門Kplusのグランプリ、スペインのアカデミー賞と言われるゴヤ賞の新人賞を受賞している。

2021年度の第74回カンヌ国際映画祭の最高賞、パルムドールはフランスのジュリア・デュクルノー監督の『TITANE/チタン』(4月1日公開)、第78回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したのはフランス人監督オドレイ・ディワンの『Happening(英題)』、そしてベルリン国際映画祭でシモン監督が金熊賞を受賞したことにより、世界3大映画祭の大賞受賞者はすべて女性監督作品となった。


審査員大賞の銀熊賞を受賞した『The Novelist's Film(英題)』
審査員大賞の銀熊賞を受賞した『The Novelist's Film(英題)』画像はBerlinale(@berlinale)公式Instagramのスクリーンショット

ベルリン国際映画祭の常連、韓国のホン・サンス監督の新作『The Novelist's Film(英題)』は審査員大賞の銀熊賞を受賞。2019年の第70回では、『逃げた女』(20)で監督賞を受賞、2017年の第68回では『夜の浜辺でひとり』(17)に主演したホン・サンス監督の公私にわたるパートナー、キム・ミニが女優賞の銀熊賞を受賞している。

また、是枝裕和監督が率いる映像制作者集団「分福」の新人監督、川和田恵真監督の『マイスモールランド』(5月6日公開)が、全部門の出品作から選出されるアムネスティ国際映画賞のスペシャル・メンション(特別表彰)を受賞した。本作は、在留資格を失った在日クルド人の少女が、自分の居場所を探す葛藤を経て成長していく物語。在日クルド人の高校生・サーリャ役を映画初出演・初主演となる嵐莉菜が演じ、サーリャが心を開く少年役を『MOTHER マザー』(20)の奥平大兼が演じている。

本作で映画初出演・初主演を果たす嵐莉菜、『MOTHER マザー』(20)の奥平大兼が共演
本作で映画初出演・初主演を果たす嵐莉菜、『MOTHER マザー』(20)の奥平大兼が共演[c]2022「マイスモールランド」製作委員会

国際人権団体であるアムネスティ・インターナショナルは、「『マイス モールランド』は、世界中で起こりうる出来事を力強く語った映画作品。難民への非人道的な扱いを批判しながら普遍的テーマを描いている」と審査員によるコメントを発表した。また、短編コンペティション部門に出品された和田淳監督の日仏共同製作アニメ『半島の鳥』も特別表彰を受けている。

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    392
    女性監督としては史上2度目のパルムドールを受賞したラヴ・ヴァイオレンス・スリラー
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